桜井市箸中の慶運寺。
本堂裏手に「慶運寺裏円墳」という名の古墳があります。
墳形は名前の通り円墳で、直径約12mの規模です。埋葬施設は横穴式石室のようですが、残念ながら現存しておらず見学は出来ません。
慶運寺裏円墳。
墳丘に登る石段がありました。
よく見ると、横穴式石室の天井石と思われる石材が露出しています。周囲には墓地が広がり、古今の弔いの場が交差します。古墳好きの方ならご存知のことと思いますが、慶運寺には横穴式石室が開口しているもう一つの古墳があります。
本堂の裏に開口しており、両袖式の横穴式石室です。
慶運寺裏古墳には持ち送りも見られ、実際に石室インが可能です。
桜が開花!慶運寺の墓地
箸中の国津神社から東へ、巻向川沿いを進みます。
ホケノ山古墳を見過ごしてしばらく進むと、程なく左手に慶運寺の山門が見えてきます。本堂右奥にピンク色に染まった桜が見えました。慶運寺にも桜の木があったんだなぁと思いながら、境内へ入ります。
慶運寺の桜。
ブロック塀越しに桜の枝が伸びています。幾つもの房になって、垂れ下がっていました。
本堂前に咲く春の花。
これはおそらく牡丹でしょう。
茅原大墓古墳の墳丘。
慶運寺からさらに東へ歩を進めると、茅原大墓古墳が見えて参ります。遥か遠方には、耳成山や畝傍山も望むことができます。ここは「大和国中(やまとくんなか)」、穏やかで風光明媚なエリアです。
再び慶運寺の本堂前。
ぷっくりとした蕾が希望を抱かせます。
振り返ると、石仏の覆屋があります。
その左横には、阿蘇ピンク石の石棺仏が立っていました。
なかなか見所の多いお寺さんですよね。
山門前の寺号標にもありますが、慶運寺の山号は「三輪山」です。
古来、三輪山の瑞垣郷(みずがきごう)には墓を造らないという言い伝えがあります。”瑞垣郷”とは、三輪山麓を流れる巻向川と初瀬川(大和川)の間の聖域を指します。二つの川に挟まれたエリアの瑞垣郷は特に神聖視されてきました。
そのことを裏付けるように、慶運寺の墓地も巻向川の外に位置します。もちろん、慶運寺裏円墳や慶運寺裏古墳をはじめ、ホケノ山古墳、堂ノ後古墳、箸墓古墳なども巻向川の外に築かれています。
さして見所の無い裏古墳ですが、巻向川の流れに耳を澄ませ、三輪山を仰ぎ見ればまた違った思いも湧いてきそうです。