春日大社の神苑の南側に赤穂(あかほ)神社が鎮座しています。
福智院で大きなお地蔵様を拝観し、そのまま東の方向へと進みます。人力車のえびす屋の前を通って、閑静な高畑のエリアへと入って行きます。ほどなく右手に現れるのが赤穂神社です。
式内赤穂神社。
赤穂神社の住所は、奈良県奈良市高畑町1320です。
御祭神は天児屋根命(あめのこやねのみこと)、天満大神(てんまんおおかみ)、弁才天とされます。
日本書紀に見る十市皇女を葬った赤穂
本当に静かな場所です。
閑静な住宅街で知られる高畑に身を置けば、誰しも心が安らぎます。そんな場所に祀られる御祭神も、さぞ満足しておられることでしょう。
赤穂神社の祠。
平安時代の「延喜式」には既にその名前が見られる古社です。
昭和5年には鏡神社の別社となっています。鏡神社といえば、新薬師寺の傍らに鎮座しているお社です。その斜め向かいには鏡神社の摂社・比売神社が鎮まりますが、比売神社の御祭神は十市皇女です。そして、その十市皇女が葬られた場所がここ赤穂だとする説があります。
日本書記によると、「天武天皇7年に十市皇女を赤穂に葬る」、「天武天皇11年に氷上娘を赤穂に葬る」という記述があります。十市皇女と氷上娘の二人が眠る大和国赤穂は、まさしくこの赤穂の地名の残る赤穂神社付近ではないかと言われています。
赤穂神社の神紋でしょうか。
真ん中が下がり藤で、両端は梅の御紋を表しているのかもしれません。
赤穂に葬られたとされる氷上娘は藤原鎌足の娘です。あくまでも推測の域は出ませんが、藤原姓と藤の御紋が結び付きます。赤穂神社の御祭神の天満大神は菅原道真のことですから、梅の御神紋もうなずけますよね。
赤穂神社から縁切りで知られる不空院へ向かう途中の土塀。
屋根瓦を土塀の中に組み入れて、その強度を高めているのでしょうか。
春日原生林と中の禰宜道を案内する道標。
不空院、新薬師寺、鏡神社へと通じる四つ角の隅に置かれていました。
赤穂神社の御祭神が案内されています。
赤穂神社は女人守護の霊験あらたかな神社とされます。
道路沿いに鳥居も無く、ややもすれば見過ごされがちな神社ではありますが、静かな高畑町の町並みに溶け込んだお社は、どこか優しい雰囲気に満ちていました。