神武天皇の前后を祀る嗛間(ほほま)神社。
神武天皇即位の地と伝わる神武天皇社から徒歩1分ほどの場所にあります。よく注意して探さないと見過ごしてしまうお社です。祠前の扉も固く閉ざされており、何かいわくありげな雰囲気が漂っていました。
御所市柏原に鎮まる嗛間神社。
ちょうど太陽の光が降り注ぎ、神々しい写真が撮れました。
神武天皇の后は橿原神宮にも祀られる媛蹈鞴五十鈴姫命で、三輪山の麓に住んでいた美女ですよね。神武天皇が見初めたことで知られる大物主の娘です。ところが、神武天皇には前妻が居たようです。それが、ここ嗛間神社に祀られる吾平津媛(アヒラツヒメ)です。
夫婦の縁に嫉妬するホンダワラ社
仲睦まじい夫婦を見ると、過去の怨念が湧いて来るのかもしれません。
かつてこの辺りでは、婚礼が行われる際に嫁入り行列がこのお社の前を通ることを御法度としていました。どうしても通らねばならない時は、祠に幕を張る風習があったようです。オオモノヌシの娘に神武天皇を奪われ、この地にわび住まいしたと伝わるアヒラツヒメ。
今も昔も、男女の中は一筋縄ではいかないようですね。
サワリの神・嗛間神社の道標。
掖上の道が案内されています。
反対方向へ行けば、水平社博物館にアクセスするようです。
木の扉の隙間から祠を伺います。
小さな狛犬が両脇を固めています。祠を囲う玉垣もそんなに高くはなく、実に簡素な造りです。
扉の隙間から中を覗きます。
言い伝えを無視した者の中には、不縁になった人も多くいたようです。嗛間神社の異称をホンダワラ社、あるいはホンガラの宮と言います。その昔、ホンダワラ社は曽我川の氾濫で流されて来たんだそうです。それを救い上げてこの地に祀ったと伝わります。
ホンガラの宮は夫婦の縁を呪いますから、縁切りの神様ということになるでしょうか。
カーブミラーの柱。
それにしても、嗛間(ほほま)って不思議な神社名ですよね。
古語的に解釈すれば、ホホマは「含(ほほ)まる」から来ているのかもしれません。ホホマルは「含(ふふ)まる」に等しく、花や葉っぱがまだ開かないでいる状態を表します。蕾んでいることをフフマルと表現したのです。
フフマル嗛間(ホホマ)。
正しいかどうかは別にして、固く閉ざされた祠の前に立つと、不思議な名前の由来に触れたような気も致します。