天皇陛下の御親拝を11月中旬に控える大神神社(2014年11月執筆)。
大神神社の拝殿下、手水舎の斜め前方に昭和天皇の歌碑が建立されているのをご存知でしょうか。昭和61年に立てられた歌碑には、昭和天皇の大和に対する思いの強さが感じられます。
大神神社拝殿下の昭和天皇歌碑。
拝殿へと上がって行く石段の右側にあります。
遠つおやの しろしめしたる 大和路の 歴史をしのび けふも旅ゆく
昭和59年10月13日!昭和天皇の大神神社御親拝
約1時間30分のご滞在だったと言います。
昭和天皇が大神神社を参詣されたことは、後々までの語り草となっています。
大神神社拝殿。
巳の神杉の玉垣に結ばれた無数のおみくじ。拝殿前では参拝客が祈りを捧げています。
昭和天皇の歌にある「遠つおや」とは、初代神武天皇以下第49代光仁(こうにん)天皇までの、大和において御代を治められた天皇のことを指しています。
古文においてよく登場する「しろしめしたる」という言葉が後に続きます。
古語の世界では、他動詞の「知る、領る(しる)」は「治める、統治する、領地として持つ」などの意味を表します。昭和天皇のご先祖様に当たる歴代天皇がお治めになった大和路~といった意味合いですね。
統治することを表す場合は、多くのケースで「しらす」「しらしめす」「しりたまふ」などのように、下に敬語が付いた形で用いられます。昭和天皇の歌碑もご多分に漏れず、「しろしめしたる大和路」と表現されています。
夫婦岩にお供えされる酒と卵。
ご存知のように大神神社の大鳥居は昭和天皇の御親拝を記念して建てられました。それと同じく、この歌碑も当時の御親拝を永久に顕彰するために建立されています。
歌碑の右手に見えているのは、玄賓庵ゆかりの衣掛杉です。
昭和天皇は昭和54年から59年までの6年間で、実に三度も奈良県へ行幸されました。
そして、昭和59年10月13日には大神神社へ御親拝になられました。
およそ1時間30分ほどのご滞在だったと言いますが、陛下は大神神社の境内で何をお感じになられたのでしょうか。
大神神社の手水舎。
皇室とも関係の深い大神神社。大和最大の聖地には、酒の力で荒れた国を治めた第10代崇神天皇も祀られています。
時をまたいで、平成26年度の11月17日に平成天皇陛下の大神神社御親拝が予定されているようです。
二の鳥居前の立看板を見てみると、当日の午前中は参拝や祈祷が制限されています。大神神社参拝を予定されている方は注意が必要ですね。昨日も国道169号線を走っていると、道路の通行規制に関する案内看板が出ていました。
秋も深まる11月中旬に、日本国の象徴であらせられる天皇陛下が奈良県に行幸されます。