婚礼に際し、夫婦が互いに交わす固めの盃。
神前式に付き物の三々九度の作法を、挙式前にある程度知っておきたいとおっしゃるカップルも多数おられます。
そもそも、この夫婦(めおと)という言葉にも以前から興味を抱いていました。言葉の由来を辿れば「女夫(めおと)」に行き着くと言われます。
大正楼の披露宴会場(2014年12月撮影)。
一昔前のお座敷スタイルですね。現在は座敷用宴会テーブルと高座椅子に仕様変更しています。
三々九度から誓詞奏上へ続く式次第
夫婦茶碗や夫婦饅頭で知られるおなじみの言葉。
その語源を知って驚く方も多いのではないでしょうか。女性が先で、男性が後の「女夫」という言葉・・・男尊女卑の社会が長年に渡って続いた我が国において、レディーファーストとも取れる言葉が存在していたのです。
しかしながら、元来は「夫女」と表記したかったようです。
それでは「夫女(おとめ)」になってしまい、乙女(おとめ)との混同が心配されたようです。そこで間違いを避けるために、「女夫(めおと)」となったといういきさつがあります。現在では「夫婦(めおと)」と表記していますが、言葉の歴史を辿れば面白い発見があるものです。
晴れて夫婦となった二人を祝う名入れ彫刻ボトル。
近代以前の日本社会では、イザナギノミコトとイザナミノミコトの夫婦神を祀り、家庭において夫婦盃が行われていました。
神話の世界を思い起こせば、女性神であるイザナミからの声掛けは失敗に終わりました。二人の間に生まれた子は、骨の無い水蛭子(ひるこ)や頼りない淡島(あわしま)だったと伝えられます。そこで、二人は高天原の神々に意見を仰ぎ、仕切り直すことになります。今度は男性神であるイザナギから声を掛け、無事に事が運んだことが記されています。
支度を終えた新婦が、大神神社儀式殿へと向かいます。
三々九度の作法ですが、小児や仲人が仲立ちして、小・中・大の三つ重ねの盃を用い、それぞれに三回ずつ酒を注ぎます。
祭員がまず神前に進み出て、神酒を下げ銚子に移します。
そこで斎女が二人、三方に載せた三つ組の盃と銚子を持ち、まずは新郎の前に進みます。新郎は左手に一の盃を取って右手を添え、斎女の酌を受け、三口に飲み干して斎女に返します。
順番は新郎が先で、新郎→新婦→新郎と続きます。一の盃を納めた後は、同じように二の盃、三の盃と進んでいくのですが、二の盃の順番は新婦が先で、新婦→新郎→新婦となります。そして最後の三の盃は、再び新郎が先で、新郎→新婦→新郎の順番となります。
これでめでたく三献の儀が終わり、誓いのことばである誓詞奏上へと続きます。
大神神社儀式殿。
夫婦盃の風習においては、酒の肴には昆布、勝栗、スルメなどが用意されることが多いようです。
婚姻成立の象徴ともされる三々九度。
誰しも初体験の儀式を前に、緊張してしまうのも無理はありません。挙式の直前に、ご神職から簡単な説明がありますが、あらかじめ予習しておかれることをおすすめ致します。
結婚祝いで人気を集める日本酒名入れボトル。
杜氏の祖神である高橋活日命を祀る大神神社。毎年11月14日に執り行われる酒まつり(醸造安全祈願祭)はよく知られるところです。全国各地の酒屋さんの軒先にぶら下がる杉玉は、大神神社の「志るしの杉玉」であることをご存知の方も多いのではないでしょうか。
お酒にゆかりのある神社だけに、夫婦盃(三献の儀)への理解は深めておきたいところです。
結婚式送迎リムジン。
神社での神前結婚式は明治時代に成立しました。
明治33年の皇太子様(後の大正天皇)の結婚式が、神前結婚式のブームの火付け役になったと伝えられます。悠久の日本の歴史を顧みれば、まだ神前結婚式の歴史は浅い方だと思われます。
神前式を予定されている方は、三々九度の作法をあらかたマスターして挙式に臨みましょう!