久延毘古とは?
日本神話に登場する神であり、案山子(かかし)を神格化した神とされます。久延毘古は田の神、農業の神、土地の神として崇められています。
奈良県桜井市に鎮座する大神神社の末社・久延彦神社。
学問の神様とされ、合格祈願に訪れる受験生が絶えない久延彦神社ですが、田の神(山田の案山子)がなぜ学問の神様とされるようになったのでしょうか?
大和国原を見渡す学問の神様
久延彦神社は大美和の杜展望台へ続く高所に鎮座しています。
大和三山をはじめとする大和平野を一望するビュースポットです。
久延彦神社鳥居と桜。
春には桜も咲き、夏になると神社脇の竹林が涼し気です。
久延彦神社の御祭神ですが、『古事記』によれば「居ながらにして天下(あめのした)の事をことごとく知る神様」と記されています。
久延彦神社の拝観受付に置かれていたお札立て。
大神神社の三ツ鳥居がデザインされていますね。
久延毘古は大国主の国造りの説話において登場します。
久延彦神社の智恵ふくろう。
ふくろうは「福来朗」「不苦労」に掛けられ、ご利益のある縁起物とされています。
古事記によれば、大国主の元に海の向こうから小さな神がやって来たそうです。
名前を尋ねても答えず、誰もこの神の名を知りませんでした。
そこで、ヒキガエルの多邇具久が「この世界のことなら何でも知っている久延毘古なら、きっと知っているだろう」と言うので久延毘古を呼ぼうとしました。
ところが、久延毘古は歩くことが出来ないというではありませんか。
”朝から晩までただ立ち通し 歩けないのか 山田の案山子”という歌詞が思い出されますね。
大国主らが久延毘古の元へ行くと、それは山田のそほど(かかしの古名)であったと伝えられます。久延毘古に訊くと、「その神は神産巣日神の子の少彦名神である」と答えたそうです。
久延彦神社の裏手に咲いていた笹百合(ささゆり)の花。
いはゆるくえびこは、今に山田の案山子(そほど)といふぞ
案山子は田の中に立ち、一日中世の中を見ていることから、天下のことは何でも知っているとされるようになりました。朝から晩まで ただ立ち通しの案山子は、天下を見通す国見の山にも匹敵するぐらいの博識とされたのかもしれませんね。