昔から木材の集散地として知られる奈良県桜井市。
長閑な風景の広がる高家地区を散策中、威勢のいい掛け声がどこからともなく聞こえてきました。声のする方へ目をやると、広大な敷地内に整然と木材が並べられているのを目にします。これはスゴイ!桜井市を象徴する風景に息を呑みます。
奈良県銘木協同組合の木材振興特別市。
小高い場所から銘木協同組合の敷地内を見下ろすことができます。いつも桜井方面から明日香村へ行く際に、左手に見えているのが奈良県銘木協同組合です。普段は特に用もないので素通りするだけだったのですが、角度を変えてこんな景色を見ることができるとは思ってもみませんでした。新鮮な驚きですね。
一面の丸太風景と箸墓古墳
私が訪れた日は、偶然にも優良材特別市が催されていたタイミングでした。
午前9時から優良桧の原木市、そして午前11時からは優良杉の原木市が開かれていました。
奈良県銘木協同組合では、威勢のいいセリの声が飛び交います。
遠目からではありましたが、選木の様子を拝見させて頂くのは初めてのことです。滅多にない機会だけに、しばらくの間その風景を思う存分楽しませて頂きました。
奈良県銘木協同組合を見下ろす高台からさらに坂道を上って行くと、右手に「さくらい菜の花プロジェクト」と書かれた案内札が立っていました。
上手に見えている建物は、宿泊施設とレストランを兼ねたオーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井です。
NPO法人さくらい菜の花プロジェクトの活動の一環のようで、ホームページには以下のように案内されています。
NPO法人さくらい菜の花プロジェクトは、菜の花を通して環境・農業・観光・経済・エネルギー・教育等の問題を見直し、地域の田園や山が生み出す資源を地域で循環させることで、農業を再生し、里山を再生し、地域を再生し、新しい時代の持続可能な循環型社会の構築をめざす活動を進めています。
菜の花畑は各地で見られるようになりましたが、確かに観光目的のみではない幅の広がりを感じさせます。
遥か彼方に見えているなだらかな横のラインは矢田丘陵でしょうか。
奈良盆地の周りは山で囲まれています。それぞれの形に特徴があるので、だんだん見慣れてくるとどこの山かが判別できるようになります。銘木協同組合の敷地内の真ん中には突き出た設備がありますが、あれは一体何でしょう。焼却炉?
高家地区からは前方後円墳の箸墓古墳を望むこともできます。
箸墓古墳の手前に見えている建物は、芝運動公園の体育館だと思われます。高家エリアからは奈良市内の若草山を望むこともできるようですが、箸墓古墳の右手後方に見えている緑の部分がひょっとすると若草山なのかもしれません。
箸墓古墳の右手後方には、三輪山のなだらなか稜線が見えます。さらにそこに重なるように龍王山が聳え立ちます。
新聞紙面でも掲載されてよく知られる話ですが、龍王山からは遥か西方の明石海峡大橋を捉えることもできます。なんだか地球を感じさせるスケールの大きなエピソードですよね。
無数の木材が並び、まさしく圧巻の光景です。
JR桜井駅南口の近くを流れる寺川の畔には、今も木材市場発祥地の石碑が建っています。木材と共に生きてきた桜井の町には、木材関係の仕事に携わる人々が信仰する神社もあります。土舞台古墳の近くに鎮座する石寸山口神社には大山祇神が祀られ、長年に渡り木材の街桜井市を見守り続けています。
木造家屋が減少する昨今ではありますが、かつての活況と重なる光景に大満足の一日でした。