大田田根子の母神である鴨部美良姫(かもべのみらひめ)を祀る神域が、大神神社の摂社である若宮社の境内にあります。
若宮社(大直禰子神社)の社殿向かって左側に鎮まる御誕生所社。
御祭神は大田田根子(おおたたねこ)の母神・鴨部美良姫命。
磐座を抱く御誕生所社
重要文化財の社殿にばかり目を奪われがちですが、社殿の前には小さいながらも安産の守護神・御誕生所社と、火難除の守護神・琴平社が祀られています。琴平社の御祭神は大物主神で、こんぴらさんの系列ではないかと思われます。
「鴨部美良姫」の文字が見えます。
御誕生所社には社殿がなく、塀に囲まれた中に辺津磐座の一つと言われる磐座が佇みます。
磐座信仰の大神神社を象徴する大きな岩が一つ、注連縄と紙垂で守られた玉垣の中にひっそりとその姿をたたえています。
御誕生所社の磐座。
パワーストーンの一つであることに間違いはないでしょう。
大神神社の祈祷殿前に、なでうさぎの案内看板が出ていました。
お正月シーズンに祈祷殿前に出張していたなで兎が、今はもう参集殿玄関前に戻っているようです。今年もたくさんの参拝客に体のあちこちを撫でられて、益々黒光りの度合いが増しているのではないでしょうか。
身の引き締まる冬は、貝の美味しい季節でもあります。
ご結納のお客様に、新鮮な活オク貝の刺身をお出ししました。
若宮社の境内社「御誕生所社」。
大田田根子は大物主神と活玉依姫の子孫に当たる人物です。古代豪族の三輪氏の祖先でもあり、私たち三輪に住まう者にとっては、忘れてはならない重要人物の一人ということになります。
崇神天皇の時代に流行した疫病。
そのとき、崇神天皇の夢の中に大物主が現れて、「大田田根子に私を祭らせれば疫病は止む」という託宣がありました。河内の堺市付近で大田田根子という人物が見つかり、崇神天皇は大神神社の神主として大田田根子を迎え入れます。
託宣通りに疫病は止み、国は安泰を取り戻したと伝えられます。
その大田田根子のお母様が、ここ御誕生所社に祀られているのです。
結婚式が執り行われる儀式殿の前に、綺麗な獅子頭の花が咲いていました。
「ライオンの頭」というネーミングにふさわしく、艶やかに大輪の花を咲かせています。
安産の守護神・御誕生所社。
大神神社の境内摂社である玉列神社にも、誕生石(たんじょうさん)と呼ばれる磐座があったことを思い出します。
医学の進歩によって新生児の死亡率がかなり低くなっている昨今。全面的に医学に頼ることのできなかった昔の人々の、安産への願いを推し量ることはできません。
医学が進歩したとはいえ、今も昔も変わらず、安産への願いが大田田根子の母神に届けられています。
大直禰子神社参拝案内
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大神神社摂社 大直禰子神社(若宮社)
住所:奈良県桜井市大字三輪字若宮
拝観料:無料
駐車場:大神神社の駐車場利用
アクセス:JR万葉まほろば線三輪駅より徒歩7分