鮑という海産物

大神神社の婚礼に鮑のお造りをお出し致しました。

言わずと知れた高級食材の鮑。

そのコリコリとした歯ごたえ、甘みのある身は貝類の王者にふさわしい食材ですよね。

鮑の刺身

鮑のお造り。

アワビは一年を通して出回りますが、一般的に夏が旬と言われます。

夏が旬とは言うものの、その旨味がピークを迎えるのは10~12月頃とも言われています。普段は酒蒸しにしてお出しすることの多い鮑料理ですが、今回はお造りにしておもてなし致しました。

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祝意を表す熨斗あわび

鮑は巻貝に分類されますが、その姿を見れば ”巻いていない” ことが分かります。

巻貝なのに、その貝殻は巻いていません。

二枚貝の片方が無い形状をしています。鮑を焼き網の上に乗せ、その身が躍っているのを見たことがある人も多いでしょう。身の部分が剥き出しになっているため、その豪快な動きが白日の下にさらされます。鮑には悪いですが、とてもダイナミックで美味しそうに映ります(笑)

鮑

生の状態でも、吸盤を引っ剥がして仰向けにするとクネクネと動き出します。

こうやって見ると、改めて可食部分の大きい貝であることが分かります。

今でも丁重に贈り物をする際には熨斗を付けるわけですが、元来は熨斗には長寿を表す鮑が使われていたそうです。鮑の肉を薄く長く剥いで、それを引き伸ばして乾かします。熨斗鮑(のしあわび)と呼ばれるものですが、進物に添える熨斗鮑は祝い事には欠かせませんでした。

前菜

鮑は神饌にもよく用いられていた食材です。

「のし」は延寿に通じることから、縁起物としても重宝されていたようです。

鮑は十分な大きさに成長するまでに年数が掛かります。たまにスーパーなどで目にする小さい鮑は、そのほとんどが養殖物だと思われます。やはり大きな天然物の鮑は迫力が違いますよね。

席札扇子

席札扇子をスタンバイ。

着々と結婚披露宴の準備が進んでいきます。

鮑にも雌雄の別があります。見分け方は比較的簡単で、つのわたと呼ばれる生殖巣の色で判断します。クリーム色のつのわたは雄で、緑色が雌となります。わたを三杯酢で合わせるともわた酢などは、通の間では人気の献立として知られます。

鮑のお造り

「共白髪」という素敵な言葉がありますよね。

夫婦そろっての長寿を祈願する言葉ですが、二人の門出を祝う結婚式の席にも鮑はよく似合います。貝殻が合わさるという縁起はハマグリにお任せして、アワビには長寿の縁起を担ぎたいと思います。

大神神社の結婚披露宴会場

アワビをそのまますりおろして、鮑とろろとして頂く贅沢な一品もあります。

結婚式にはご高齢の参列者も数多くいらっしゃいます。

そういう意味では、長時間蒸して身を柔らかくしたアワビの酒蒸しが人気の定番メニューとなっています。今回の婚礼はご高齢の方がいらっしゃらなかったので特別ですが、生のアワビやサザエの歯応えを楽しむことが出来ない方々もいらっしゃることを忘れてはなりませんね。

かの源頼朝の元にも届けられたという熨斗鮑は、武運長久の願いにも通じていたのでしょう。

お二人の末永い幸せを、ここに祈念致します。

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