やまとおおたにひめみこと。
橿原神宮へお参りした際、畝傍山の東登山口付近を歩いていると、「東大谷日女命神社」と刻まれた社号標を目にします。あれ?以前にも同じ名前の神社を見たことがあるなと思い、記憶を手繰り寄せます。桜井市の山田寺跡近くの東大谷日女命神社がそれでした。同名の神社が橿原市と桜井市に存在していることになります。
橿原市畝傍町唐院に鎮座する東大谷日女命神社。
拝殿へ続く石段を登りながら、畝傍山の麓にこんな神社があったんだなぁと改めて感じ入ります。
姫蹈鞴五十鈴姫命を祀るお社
東大谷日女命神社の御祭神は姫蹈鞴五十鈴姫命とされます。
姫蹈鞴五十鈴姫命(ひめたたらいすずひめのみこと)は神武天皇の后であり、橿原神宮の御祭神でもあります。畝傍町鎮座の東大谷日女命神社ですが、色々分かっていないことも多いようです。
若桜友苑の奥の方に、東大谷日女命神社の社号標が建っていました。
「鎮守之宮」と記されています。
まず、創祀されたのがいつ頃なのかも不詳です。江戸時代にはイザナミを祀る熊野権現と称し、明治に入ってからは御祭神を神功皇后に変更しています。そこで収まるのかと思いきや、さらに現在の姫蹈鞴五十鈴姫命を祀る神社として今に至ります。
橿原神宮外拝殿。
お正月前の年末に訪れたのですが、焚火用と思しき薪が組まれていました。
東大谷日女命神社へお参りするには、このまま北神門を出て北参道を辿ります。しばらく行くと、左手に畝傍山登山口を案内する札が見えて参ります。そこを左折して、しばらく進むと右手に見えてくるのが東大谷日女命神社です。
やまとおおたにひめみことの石鳥居。
桜井市山田の東大谷日女命神社境内には、重要文化財に指定される石灯籠がありました。しかしながら、こちらの境内にはコレといった注目すべきものは見当たりませんでした。
鳥居を抜けた右手に祀られる磐座。
不思議な形をしていますね。
拝殿前に出ます。
古びた狛犬と石灯籠が両脇を固めています。
辺りはひっそりと静まり返り、不気味なぐらいの静寂に包まれています。
神社のすぐ脇には畝傍山の登山案内が出ていました。
ここは名勝・大和三山の一角を占める畝傍山の東麓です。ご近所の方なのでしょうか、慣れた足取りで山へ登って行かれました。しばらくすると、下山する人々にも出くわします。どうやら畝傍山麓で日常的に繰り広げられている光景のようです。健康のためのウォーキングは全国各地で盛んですが、名勝指定の山を登れるとは羨まし限りですよね。
橿原神宮の初詣は毎年数多くの参拝客で賑わいます。
果たしてこちらの神社はどうなのでしょうか。橿原神宮から歩いてすぐの場所にあるとはいえ、水を打ったような静けさに包まれています。おそらく大混雑が予想される初詣シーズンでさえも、その様子は変わらないのではないでしょうか。そうあってほしいとさえ思われる雰囲気です。
畝傍山麓をそぞろ歩きした後、真言宗根本道場の久米寺を訪れました。
意外に知られていませんが、橿原神宮と久米寺は近鉄南大阪線の線路を挟んで隣り合わせの位置取りです。紫陽花の名所であり、弘法大師空海ゆかりのお寺でもあります。
今回お参りした東大谷日女命(やまとおおたにひめみこと)神社。
難読の神社名ではありますが、古色蒼然とした空気が何とも言えません。橿原神宮参拝の折にでも、是非一度足を伸ばされてみてはいかがでしょうか。