江戸時代の町並みが残る今井町。
細く入り組んだ道が縦横無尽に張り巡らされた集落だけに、防災に対する意識も高いのでしょう。旧米谷家や音村家のある通り沿いに「中町筋生活広場」という防災拠点が設けられていました。
中町筋生活広場。
井戸枠のようなものが置かれていますね。アートを思わせる水路が設けられ、その脇にはベンチも用意されています。この広場にはトイレも完備されており、今井町散策の休憩所になっていました。
今井町を訪れたなら、まずは駐車場近くにある案内所「華甍」へ足を運んでみて下さい。今井町のイロハが案内されており、散策前の予習施設としておすすめです。
今井町を守る耐震性防火水槽を埋設
中筋町生活広場には、80トンの耐震性防火水槽が埋設されています。
日本列島に暮らしている限り、地震の恐怖からは逃れられません。ましてやこの辺りには、奈良盆地東縁断層帯という活断層が存在しているのです。もし直下型地震でも起ころうものなら、最大震度7・マグニチュード7.5の大地震が予想されます。耐震性防火水槽が必要なわけですね。
今井町の紋と共に、中町筋生活広場の概要が案内されています。
午前9時から午後5時までは開放されているようです。便所があることから観光客の利用が多いものと思われますが、地域の人々にとっても憩いの場になっているのかもしれませんね。近隣住民の方々の意識付けにはピッタリの施設です。
防災倉庫も設置され、初期消火に対する意識は高いようです。
「今井町の町並み」とよく言いますが、実に入り組んだ造りになっています。
道が真っ直ぐに交差していないのです。辻に立つと、遠くまで見通せないのが大きな特徴です。かつては身を守るための設えだったわけですが、防災の観点からはクエスチョンマークが付きまといますよね。何より消防車が入って行きにくい通りです。
1854年に発生した伊賀上野地震では、奈良県内においても約300人の犠牲者が出たと伝えられます。奈良県は災害が少ない県だから心配ないと思いがちですが、天災は忘れた頃にやって来ます。備えあれば憂いなしですね。
歴史ある木造住宅があちこちに建ち並びます。
昨年度開催の「今井町はならぁと」では、中町筋生活広場の前にある今井景観支援センターで呈茶席が設けられました。今井町ゆかりの茶人・今井宗久にちなんだイベントです。堺商人でもあった今井宗久ですが、今井町を代表する人物として、今も時代衣裳に扮する茶行列にその名を留めています。
いつ起こるか分からない地震。
災害発生時には、県のHP閲覧もままならないかもしれません。そんな時のために、奈良県ではスマホアプリ「ナラプラス」を用意しているそうです。文明の利器もうまく活用しつつ、普段の備えをしっかりしておきましょう。