奈良県立万葉文化館で開催中のイベント。
開館15周年記念特別展『判じ絵の世界』~目で見る江戸のなぞなぞに挑戦~へ行って参りました。昔の人の遊び心が感じられる面白い特別展示です。お盆前から始まっているようで、お彼岸過ぎの10月2日(日)まで開催されています。
万葉文化館の「判じ絵の世界」。
玄関を入ってすぐに案内看板が立っていました。
幾つか代表的な判じ絵が描かれていますが、一体何を表現しているのかお分かりになりますか?
判じ絵の「判」の字の下に、桜の花びらが真っ二つに割れた絵が描かれていますね。桜の真ん中が無いことから、正解は「皿」なんだそうです。「さくら」の真ん中を抜いて「さら」というわけですね(笑)
特別展の入口付近には判じ方のヒントが幾つか案内されており、そこに目を通してから鑑賞されることをおすすめ致します。何の予備知識も無いまま鑑賞するより、その方が納得できます。ちなみに桜を皿と解釈する判じ方は「中抜き」と呼ぶようです。
逆さ読みや擬人化を楽しむ判じ絵
ある程度の判じ方のヒントを会得すれば、誰でも楽しめるのが判じ絵の魅力です。
江戸時代の庶民の間で流行ったのも頷けますね。
言葉遊びと絵遊びが融合し、子供も大人も楽しめるちょっぴり知的なゲームの世界です。江戸の脳トレと称される判じ絵ワールドへとご案内致します。
館内のミュージアムショップにも、判じ絵の関連本が販売されていました。
「判じ絵かるた」なんてのもあるんですね。
「は」と書かれた絵に注目です。歯の下に逆さまになった猫が描かれていますね・・・うん?これは一体何だろう。
正解は「箱根」です。
絵が逆さまに描かれている場合は、その通りに逆から読むのが判じ絵の鉄則です。つまり、猫(ねこ)が逆さまだから「こね」というわけですね。歯と合わせれば、「箱根(はこね)」となります。
判じ絵にも色々な種類があり、浮世絵版画、地図と地名、道具、食べ物、人名、歌舞音曲、未判読等々実に多岐に渡ります。箱根などは地名の範疇に入るものと思われます。
特別展の会場では、江戸(現在の東京)の地図上に、地名を表す様々な判じ絵が散りばめられていました。パッと見では一体何を表しているのか見当が付かないのですが、パズルを楽しむような地名の謎解きにすっぽりハマってしまいました(笑)
未判読の判じ絵が存在しているのもポイントです。
未だに解明されていない謎に挑戦できる権利が誰にでもあるということですね。未判読の判じ絵の前で、眉をしかめながら解読を試みる。実にくだらないことなのかもしれませんが、そこがまた滑稽で面白い体験です。
万葉文化館の入場料は800円。
飛鳥池工房遺跡へと続く渡り廊下の手前にも、さっそく謎を呼ぶ判じ絵が登場していました。
茶を点てるガマガエルだから「茶釜(ちゃがま)」、駕籠を蒸しているから「虫籠(むしかご)」なんだそうです。これらの判じ絵は比較的簡単で、予想を裏切らない回答ですね(笑)
万葉文化館の入館チケット。
今回の特別展示の観覧料ですが、小・中学生以下は無料となっています。
万葉庭園には百日紅の花が咲いていました。
猛暑が続く奈良盆地・・・この時期の屋外観光は老若男女を問わず注意が必要です。冷房設備の整った博物館や資料館に人が集まるのも自然な流れでしょうか。
ところで、判じ絵のヒントに逆さ読みがありましたが、芸能界などの業界用語にもよく見られますよね。ホンジャマカ石塚さんの「まいう~!」なども「旨い」の逆さ読みで知られます。言葉遊びは昔からあったようで、こういった逆さ読みの手法は倒語と呼ばれます。私が以前に執筆していたブログに、倒語アーカイブがありますのでどうぞご参照下さい。チクる、ジャーマネ、コンサドーレ等々、どこかで聞いた言葉の由来を辿っています。
『いろは判じ絵』。
ページを繰ってみると、ほとんどが判じ絵のイラストで占められていました。通販サイトなどでも購入できるようですので、ご興味をお持ちの方は是非どうぞ。
|
いろは判じ絵 江戸のエスプリ・なぞなぞ絵解き [ 岩崎均史 ] |
江戸のエスプリとは言い得て妙ですね。
ガチガチに凝り固まった固定観念を払い、新たな発想の転換を生み出してくれる判じ絵の世界。なるべくすぐには回答を見ないで、あれこれと頭を悩ませてみるのが肝要です。正解を得ることが目的ではなく、頭の体操そのものが目的です。そう考えれば、気軽にトライできるのではないでしょうか。
万葉文化館の駐車場とにぎわいフェスタ万葉
万葉文化館は子供にやさしいミュージアムです。
今回の特別展示でも、小学生や中学生は入場無料です。常設展示の万葉劇場なども、どちらかと言えば子供向けの設備だと思われます。開館当初から体験型ミュージアムと称し、万葉時代の人々の生活や歌垣の場に触れることができます。もう今年で開館15周年目なんですね。
万葉文化館駐車場の駐車ゲート付近。
開館当初は有料だった駐車場ですが、今では無料で利用することができます。
万葉文化館のみならず、近くの飛鳥寺や酒船石、亀形石造物などを見学する際、この駐車場を利用される方もいらっしゃるのではないでしょうか。食事処やショップの集まったASUCOME(あすかむ)などもあり、飛鳥観光の拠点として注目されています。
駐車料金の有料時代に使われていたのでしょうか。
今でも駐車券の発行はされています。
駐車場の出入口でバーが下りて来て、駐車券を出し入れする仕組みです。
大型観光バスを目にすることもよくあります。
春や秋の観光シーズンになれば、明日香村を周遊する観光バスで辺りは賑わいます。
万葉文化館には奈良交通のバスも停車します。
明日香小原~万葉文化館~治田神社を結びます。明日香小原には藤原鎌足の産湯の井戸があり、藤原姓のルーツを感じさせる穴場観光スポットとなっています。治田神社は岡寺の門前にあるお社ですね。
万葉庭園には石で組まれた舞台があります。
その手前に、真夏に咲く百合の花が顔を覗かせていました。
万葉文化館の夏休み企画ですね。
『にぎわいフェスタ万葉夏』と題する夏休みイベント。
映画上映会に巨大迷路、さらには夏休みこども万葉教室、匠の聚(たくみのむら)ワークショップ等々、実に様々なイベントが企画されています。映画上映会は、指定日の午前と午後に整理券が配布され、料金無料・申込不要にて開催されたようです。
ミュージアムショップには迷路コーナーが設けられていました。
万葉文化館の巨大迷路ですが、8月24日(水)~31日(水)の期間限定で企画展示室に出現するようです。小さい子供たちが大喜びするであろう巨大迷路も、料金無料・申し込み不要にて行われる予定です。
ホワイエコーナーには、舞妓さんのスケッチ風景が展示されていました。辰巳寛先生が自ら、舞妓スケッチの手ほどきをされているお写真ですね。前回万葉文化館を訪れた時には、この場所で歴史ビデオが上映されていました。今回は過去のイベント写真がずらりと紹介されており、万葉文化館の歴史を知ることができました。
こちらは橿考研博物館の案内チラシです。
橿原考古学研究所附属博物館では、毎年夏に発掘調査速報展が開催されており、今年で第34回目を数えます。2015年度に発掘調査された遺跡について、出土遺物および調査写真・図面のパネルが展示されているようです。
その他、飛鳥資料館のチラシもあったりして、展示棟の手前では奈良県内各地のミュージアム情報を知ることができます。
絵解きと言葉遊びが同時に楽しめる判じ絵。
夏休みもいよいよ大詰めを迎えますが、判じ絵の特別展示は10月2日まで行われています。この機会に是非、あなたも万葉文化館を訪れてみましょう!
<奈良県立万葉文化館の関連情報>