宝相華(ほうそうげ)とは、唐草文様の一つです。
正倉院宝物の文様にも数多く見られ、蓮華、パルメット、ザクロ、牡丹などの良い所を抽出して組み合わせた空想上の文様です。
興福寺で販売されていた宝相華文様の手ぬぐい。
様々な美しい花の良い所を抜き取って描き出された花文です。
阿修羅像の着衣にも描かれる宝相華
宝相華文様は中国唐の時代に流行したと伝わります。
宝相華は仏教デザインの一つとされますが、縁起物の花喰鳥と共に描かれることもあるようです。
奈良の街角で見つけた蓮。
蓮は仏教とも縁の深い植物ですよね。仏像の多くが蓮の台座の上に坐しておられます。
それにしても見れば見るほど、ハチの巣に似ていますよね(笑) それもそのはず、蜂の巣(ハチノス)から転訛してハスになったと言われています。宝相華には蓮華の要素も含まれています。
その他にも、渦巻状の流れうようなラインと扇形に広がる曲線が美しいパルメットなども宝相華の元になっています。パルメットは忍冬がデザインされているとも言われますが、実際は空想上の植物のようです。日本料理では、お刺身のツマに唐草大根と呼ばれる飾り切りをよく使いますが、くるっと丸まったラインなどはパルメット文様にそっくりです。
宝相華は興福寺阿修羅立像のスカートにも描かれています。
一躍阿修羅ブームを巻き起こした美形の仏像です。
阿修羅様はスカートを履いていらっしゃったのですね。
仏教的意匠の宝相華がデザインされたスカートをお召しになられています。
興福寺の貫首が著わされた「はじめての唯識」。
その左側にも、宝相華のデザインが風に揺れています。
法相宗の興福寺。難解とされる唯識は、法相宗の代名詞でもあります。初心者にも分かりやすく解説されている本のようですね。
宝相華にはザクロや牡丹の要素も取り入れられているようです。
ザクロと言えば山の辺の道の海柘榴市を、牡丹と言えば長谷寺の牡丹を思い浮かべます。悠久の奈良の歴史とのつながりを感じます。
東大寺南大門に座る鹿。
奈良の鹿の毛並み模様も実に美しいですよね。
興福寺北円堂と無著菩薩立像。
興福寺国宝特別公開2011と題して、三重塔と北円堂が特別開扉されています。
北円堂は建物自体も国宝ですが、中に安置されている仏像にも多数の国宝が眠っています。