マーケティングにおける想起集合。
人が購買行動を起こす時、頭の中で思い出す ”カテゴリ内順位” と言ってもいいでしょう。車を買う時ならトヨタ、ホンダ、三菱といったメーカーが思い浮かぶでしょう。スナック菓子ならカルビー、湖池屋。宿泊予約サイトなら楽天トラベル、じゃらん、一休といった具合にそれぞれの分野で想起する集合体があります。
まずは想起集合の中に入ることが肝要です。
そこにランクインしていなければ、モノを売ることは難しくなります。ブランドの構築がいかに大切かが問われます。
記憶を呼び起こす”evoke”という英語
マーケティングにおいて、想起集合は Evoked Set と訳されます。
他動詞の evoke には、記憶などを呼び起こす、喚起するといった意味があります。
evoke her image in my mind で、心の内に彼女の姿を思い浮かべる、となります。笑いなどを引き出す際にも、evoke が使われます。類語には extract がありますが、extract には出にくいものを力尽くで引き出すイメージがあります。例えば、extract information from a captured enemy (捕虜の敵兵から情報を引き出す)といった具合です。その点、evoke には興味や記憶を引き出すというニュアンスがあります。要するにピンと来る、ビビッと来るといったアノ瞬間です。
記憶を引き出す evoke 。
ユーザーに消費行動を起こしてもらうためには、まず知ってもらう必要があります。これが「認知」の段階です。でも、知っているだけでは購買行動には結び付きません。
その次のステップとして登場するのが「想起(Evoked Set)」です。
頭の中に描かれる選択肢群のことですね。比較対象となる2~3の想起集合から、消費者は何を買うか検討を始めます。実はここからが大事で、知っているだけでも想起されるだけでも十分ではないのです。そこへプラスアルファの上乗せが必要になります。
それは何なのか?
ズバリ、Emotional Engagement (感情的な関わり合い)であると言われています。
消費者側から見た継続的ブランド体験がモノを言う時代です。ブランドへの関与を深める共創マーケティングが叫ばれる所以でもあります。
成熟したマーケティング環境下にあって、中長期的にエンドユーザーとの関係を深めていくことの意義が問われています。