石清水社の井戸

京都府八幡市の男山に祀られる石清水八幡宮。

八幡宮が鎮座する男山の中腹に、石清水八幡宮の中で最も聖なる場所とされる石清水社が鎮まります。表参道から裏参道へと通じる道の途中に、霊泉の石清水井が湧き出ます。

石清水井

聖地と仰がれる石清水井(いわしみずい)。

石清水八幡宮の小冊子によれば、冬に凍らず夏に涸れない霊泉とされます。石清水八幡宮の名前の由来にもなった由緒正しい井戸として知られます。ここで一つ、石清水井を湛える石清水社のある場所に注目してみたいと思います。参拝客の往来が激しい表参道や裏参道沿いから少し外れた場所に位置していることからも、少なからず此処が古来からの聖域であることをうかがわせます。

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心願成就の神様を祀る石清水社

二ノ鳥居から七曲がりを上り、景清塚の手前を右手に取って松花堂跡へと向かいます。そこからさらに石段を上って行くと、スピリチュアルな雰囲気に満ちた石清水社へと出ます。

石清水社

石清水社。

鳥居をくぐって真正面に井戸があります。その右手の少し小高い所に石清水社の祠が祀られています。石清水社の御祭神は天之御中主神とされます。祠の前に、「御神徳 心願成就の神様」と記されていました。

石清水社の龍

井戸を覆う建物に色鮮やかな龍が描かれていました。

龍は水を司る神様ですから、石清水井にはぴったりですね。よく見てみると、上半身は龍ですが、下半身の躍動感は馬そのものといった感じがします。

石清水井

聖なる石清水井ではありますが、実際のところ清浄な水とは言い難いようです(笑)

神社の霊泉目当てにペットボトル片手に参拝する人も多くお見受け致しますが、石清水八幡宮に限ってはどうやらその必要性は無いようです。石清水井の歴史は、石清水八幡宮の創建以前に遡ると言いますから、あくまでも伝説の場所という位置付けなのかもしれません。

京都府指定文化財の石清水社

摂社の石清水社は京都府指定文化財に指定されています。

江戸時代前期の建物のようです。

石清水社の祠

井戸の手前から右手の方を向くと、一段高い場所に石清水社の神様が祀られています。

石清水社の御祭神

天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)は天地創造の神様です。

宇宙が初めて形成され、胎動し始めた時に天上界に現れた神様。高天原を率いる天之御中主神と、創造神の高御産巣日神(たかみむすひのかみ)と神産巣日神(かむむすひのかみ)を「三柱(みはしら)の神」と言います。

三柱の神は神様の中の神様であり、特別な神様として仰がれます。

出現してすぐに、宇宙に溶け込むように身を隠した神様であったと言い伝えられます。目には見えないけれども、どこかで必ず見守って下さる尊い神様。神話の時代には、高い樹木や建物の柱に神様が降りて来ると言われました。神様の数を数える単位に「柱」が使われるようになった由来です。

パワースポットの石清水井よりも一段高い場所に祀られる石清水社(天之御中主神)。

かの源氏の崇敬をも集めた石清水八幡宮。

源頼朝が鎌倉の地に八幡神を勧請して、鶴岡八幡宮を創始したのは有名な話です。頼朝も天之御中主神には一目置いていたのかもしれませんね。

桃の屋根瓦

石清水社へ続く石段から下を見下ろすと、石清水井の屋根を飾る桃の屋根瓦が見えます。

桃は厄除で知られる果物です。京都の晴明神社境内で見た厄除桃のことを思い出します。

石清水八幡宮の社紋にもなっている巴紋も見られます。尾っぽが長く伸びているのが特徴です。これはやはり、勾玉の尻尾と同じで「永遠」をイメージしているのでしょうか。

石清水井

石清水井。

男山には男山五水(八幡五水)と言って、五つの名水が湧く井戸があります。その内の一つが石清水井なわけですが、男山五水の中でも最も重要視される井戸であることに間違いはありません。

石清水井の上の竹林

井戸の上には竹林が見えます。

エジソンの逸話に登場する石清水八幡宮の竹。竹もまた、石清水八幡宮を象徴するラッキーアイテムの一つです。

石清水社の蟇股

蟇股も美しいですね。

万物を育み続ける水は、この上なく尊く有難いものです。

ここ石清水社は、石清水八幡宮参拝の折には必ず足を向けたい場所の一つではないでしょうか。

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