京都の石清水八幡宮を訪れたなら、その北東方向にある飛行神社へも是非足を向けてみましょう。
航空安全祈願の神様として知られる飛行神社をご案内致します。
京阪八幡市駅を降り立ち、エジソンの胸像を横目に見ながら駅前のロータリーをぐるりと回り込みます。角のスーパーを右手に曲がれば、石清水八幡宮の一の鳥居へと続きますが、飛行神社へのアクセスは右折せずにそのまま真っ直ぐ放生川に架かる橋を渡って行きます。
飛行神社の門。
駅から徒歩で5分ぐらいでしょうか、世にも珍しい飛行神社の境内が見えて参りました。飛行神社のある場所は、石清水八幡宮の頓宮にも程近く、太鼓橋で知られる安居橋の北方に当たります。男山からは少し離れており、飛行神社周辺は住宅街となっています。
鳥居をくぐった右手に控える社殿。
飛行神社は1891年4月29日に建立されています。香川県丸亀の歩兵第12聯隊練兵場に於いて、日本人として最初のゴム動力によるカラス型飛行器の飛行に成功した二宮忠八(にのみやちゅうはち)という人物が創建しています。
ライト兄弟の前に行われた飛行機設計
人類が空へ飛び立って幾歳月が流れていますが、有史以来の歴史を顧みれば、飛行機の歴史はほんの少し前の出来事であることが分かります。ライト兄弟は1903年という年号と共に思い出されるのですが、飛行神社の創建者である二宮忠八は既に1889年に「飛行器」を考案しています。
飛行神社の縁起が解説されていました。
主座祭神に饒速日命の名前があります。ニギハヤヒは古代の飛行神だったのですね。その他、祭神には航空殉難者諸神と薬祖神が名を連ねています。
門を入ってすぐ左手に大きなエンジンが展示されています。
1960年代の西側諸国の主力機で、日米初の実用超音速戦闘機だったロッキードF104 「スターファイター(日本名は栄光)」のエンジンとされます。本物の戦闘機エンジンを目の前にすると、改めてその迫力に気圧されます。
飛行神社のとんぼ玉みくじ。
カラス型飛行器が描かれているようですね(笑) 初穂料は300円、” かわいいとんぼ玉根付が、どれか一つ入っています。” と書かれています。海外旅行にお出かけする前、飛行神社で空の安全を祈願するお守りを求めてみるのもいいでしょうね。
グニャッと曲がったプロペラが印象的です。
撃墜されて大破した飛行機の残骸なのでしょうか、あるいは炎の熱で曲がってしまったのでしょうか。
プロペラの向こうに祠を捉えます。
実にミスマッチな組み合わせですが、これも飛行神社ならではの光景です。
航空界のパイオニアと仰がれる二宮忠八。有人飛行の成功こそライト兄弟に先を越された感がありますが、飛行原理を発見して飛行機の開発に尽力した功績は今も称えられています。
晩年の二宮忠八は、飛行機事故の多さに頭を悩ませていたと伝えられます。自宅に飛行神社を建立し、航空界の安全と航空殉難者の慰霊に一生を捧げた誇るべき日本人を忘れてはなりません。
放生川に架かる橋。
ここからさらに南方へ行くと、歴史の風情を感じさせる安居橋が見えて参ります。
飛行神社の社号標ですね。
文明社会は急速に発展を遂げるものです。飛行機が大空を飛ぶようになってからわずか100年余りです。その間に幾多の戦争で飛行機が使われたことでしょうか。どれだけの物資が空を経由して運ばれ、どれだけの人が海外旅行を楽しんできたことでしょうか。どれもみな、ここ100年余り最近の出来事なのです。
急速な発展には問題が内包されているものです。創建者である二宮忠八の思いが伝わってくるような気が致します。
飛行神社の住所は、京都府八幡市八幡土井44です。
併設された二宮忠八資料館の入場料は、大人300円、中・高校生200円です。資料館の開館時間は午前9時~午後4時となっています。