檜風呂。
日本特産の常緑高木で、日本人に馴染みの深い木です。
ヒノキが放つ芳香が好きな人も多いでしょう。抗菌性の強い材でもあり、浴槽にもよく使われています。当館大正楼でも檜風呂を備え付けることになりました。
玄関先に搬入される国産檜風呂。
桧(ひのき)の樹皮は赤褐色ですが、中の材はうっすらと淡黄褐色ですね。そこにあるだけで良い香りが漂います。さすがは国産ヒノキ、物が違います。
ヒノキは「日の木」「霊の木」!?日本古来の霊性をまとう木
日本の山々に生える杉や桧。
真っ直ぐに伸びる杉は、「直(すぐ)な木」から杉(すぎ)になったという説があります。一方の桧は火を熾す「火の木」とする説もありますが、太陽を表す「日の木」や「霊(ひ)の木」により信憑性を感じます。
三輪山の麓で大正時代より旅館を営む大正楼。
ここから元伊勢・檜原神社へも徒歩で向かうことが出来ます。
太陽神の天照大神を初めて宮中外へ祀ったという檜原神社。その聖地の名前にも「ひ」が含まれています。古来、「ひ」という音には特別な思いが込められていました。
邪馬台国の女王「卑弥呼」は魏の国側から見た蔑称であり、本来は「日巫女(ひみこ)」の意味でしょう。
男性を表す彦(ひこ)、女性を表す姫(ひめ)のどちらにも「ひ」が冠されます。棺(ひつぎ)は「霊(ひ)を継ぐ」ものであり、皇太子は次期皇位を継ぐ「日嗣ぎの御子(ひつぎのみこ)」です。
「ひ」に込められた思い。
桧が「霊の木(日の木)」だとするなら、既に私たちのDNAに深く刻まれているような気がします。
古代聖地の三輪山麓で、桧の香りを嗅ぎながら寛ぐひと時・・・そんな贅沢な空間をお届けできる日が近づいて参りました。
桧の葉っぱである桧葉(ひば)も非常に丈夫です。
料理のあしらいに使いますが、すぐに萎れてしまう葉を横目に、いつまでも青々としているのが桧葉の特徴です。
日々の手入れに気を使いながら、大切に檜風呂を使っていこうと思います。