鮑(あわび)の肝は旨い。
よく言われることですが、地元特産の三輪そうめんとの相性もいいようです。鮑の酒蒸しにともわた酢は付き物ですが、今回は三輪そうめんと絡ませてみることにしました。
鮑のともわた三輪素麺和え。
今回は酒蒸し料理に向くメガイアワビを使っています。鮑の種類は主に4つあって、マダカアワビ・メガイアワビ・クロアワビ・エゾアワビに大別されます。この内、酒蒸しに向くアワビはマダカ(眼高)とメガイ(雌貝)です。クロアワビは刺身にして美味で、エゾアワビはクロアワビの北方型とされます。
蒸し汁とマヨネーズで絡ませる”ともわた”
市場では「赤」「びわ貝」とも呼ばれるメガイアワビ。
漢字で書けば「雌貝鮑」ですが、性別とは全く関係がありません。見た目がクロアワビに対して女性的なことからそう呼ばれているだけです。クロアワビが雄貝でメガイアワビが雌貝というのは、単なる区別のための呼称です。
実際の雌雄は「つのわた」と呼ばれる生殖巣の色で見分けます。クリーム色が雄で、緑色が雌です。
披露宴会場の会場装花。
蒸し上げたワタは、一度酒で洗って裏漉しします。
自家製マヨネーズを適量加えて溶き伸ばし、コクのある”ともわた”に仕上げます。
今回入荷した鮑のつのわたは緑色でした。
雌のメガイアワビということですね。丹精込めて長時間蒸した蒸し汁を絡ませます。三杯酢や黄身酢と合わせた「ともわた酢」がベースになっており、独特のほろ苦さが感じられます。
黒白胡麻豆腐。
黒ゴマと白ゴマの二層仕立てにしてみました。
旬の食材である蕗の薹味噌をかけて供します。
両親贈呈花束。
披露宴の締めに手渡されます。
会場が温かい拍手に包まれる瞬間です。
そうめんは細いですから、絡み具合もいいですね。
濃厚な旨味をまとい、ご参列頂く方々の舌の上へと運ばれます。
ぷるんぷるんの胡麻豆腐。
当館の胡麻豆腐には、香ばしい胡桃(くるみ)も入っています。
鮑は大きく育つまでに年数を要します。一朝一夕でできる食材ではないだけに、その希少性が尊ばれるのかもしれません。
鮑の保存方法も覚えておくといいですね。
生きたまま殻付きで保存する場合は、水を含ませた炭を身の上にのせます。さらに濡れた新聞紙で包み、冷暗所に置いておけばOKです。こうすることによって、吸水性のある炭が鮑の水分を調節してくれます。
今回試したトモワタ三輪そうめん和えですが、鮑以外の食材でも応用が利きそうです。カワハギやアンコウの肝などとも合うのではないでしょうか。