フランス料理ではムニエルの定番になっているマトウダイ。
「サン・ピエール」の名で親しまれる魚ですが、日本においては主に日本海側で珍重されます。
刺身にするとやや水分の多さが気になります。ひと手間かけて昆布締めにすると絶品です。さらにマトウダイを語る上においては、濃厚な肝は外せません。
マトウダイの肝の煮付け。
甘辛く旨煮にしてみました。これは最高の味わいです!
マトウダイの肝。
水洗いの際、腹の中から美味しそうな肝を取り出します。ちょっぴりグロテスクな魚ですが、その肝の味は万人が認めるところです。
マトウダイの刺身!名前の由来
大神神社結婚式の会食でお出ししたマトウダイ(的鯛)。この魚にはおのずと視線が釘付けにされます。マトウダイ目マトウダイ科に属する肉食の海水魚。体表に見られる弓矢の的のような模様の他にも、エサを捕獲するときに長く突き出る口が特徴の魚です。
片身が3つに割れるマトウダイ!自然に任せた柵取り
新鮮なマトウダイを三枚おろしにします。
刺身包丁で薄い皮を引くと、なんと身が3つに割れました。
これは他の魚には無い特徴です。普通は中骨を中心にに背身と腹身に分かれるのですが、マトウダイには目立った中骨も無く自然と三つに割れました。特に柵取りする必要もなく、そのまんま縦長の柵が3つ取れます。
こんな感じ。
あれ?不思議ですよね。腹側には立派なエンガワが付いていました。
魚体にも色々な構造があるものです。
マトウダイの刺身。
人参のわさび台の右側、紅白花大根の手前に見えるのがマトウダイです。きれいな白身ですね。
キンメダイの焼霜造りを主役に、脇役として盛ってみました。
マトウダイの刺身。
皮を引いたところです。
淡白な味わいで美味しいのですが、今一つ物足りなさを感じます。そこで、昆布に酒を染み込ませ、一昼夜“昆布締め”にしてみました。
マトウダイの昆布締め。
これは間違いのない味です。
深海魚にベニマトウダイという赤っぽい魚がいますが、なめろうにすると美味です。同じマトウダイ目に属していますが、マトウダイも青じそや味噌、生姜などでたたき合わせると美味しいでしょう。