長寿祝いのお席にナミガイの刺身をお出ししました。
インパクト絶大!
大きな二枚貝のナミ貝は、流通量の激減したミル貝の代用品として人気があります。貝殻からにょきっと出た立派な水管が目印です。ヒモやワタ(内臓)も食用になりますが、お造りに使うのは水管の部分です。
甘味の凝縮した白ミル!ナミガイの名前の由来
ナミ貝は別名を「白ミル」と言います。
ミル貝を「黒みる」と言うのに対して、その色合いから「白みる」と呼ばれます。真っ白な貝殻には幾重にも重なった波状の波紋が見られ、「波貝(なみがい)」の名前の由来にもなっています。
ナミ貝の貝殻模様。
確かに波のような模様をしていますね。寄る年波と申しますか、年輪のように重なる模様を見ていると、長寿祝いの食材にも合っているような気が致します。
微かに透けて見えますね。
貝殻自体はそんなに大きくありませんが、中に入っている身のサイズが尋常ではありません(笑)貝殻に収まり切らない水管が、どこか滑稽にさえ映ります。
ナミ貝の刺身。
真っ白な貝殻の中に新鮮な水管を入れ、ほうぼうのお造りを横に添えて供します。この時期に出回る京人参を花形に切り、わさび台として盛り付けます。
立春を前にして、中庭には赤い花が開花しています。
花の少ない時期だけに、綺麗な花を見ると心が和みます。
水管の部分には薄い皮が付いています。
ナミ貝をさばく際には、この薄皮をきれいに取る必要があります。薄皮にも細かい皺が無数に入っています。
水管を開いたところ。
新鮮なナミ貝だけに、適度な弾力が感じられます。処理をしている最中にも、食材の持つ甘味と旨味がイメージされて、思わず唾を飲み込んでしまいます。
長寿祝いのお食事に貝類はどうかとも思いましたが、事前にお聞きしておいて良かったです。
幸いにも歯の丈夫なお客様で、ペロッと平らげて頂きました。
胎児のようにくるっと丸まり、エネルギーを蓄えたような格好をしている貝類。パワーフードとも呼ばれる所以ですが、ご長寿の方にこそお召し上がり頂きたい食材でもあります。
何歳になっても自分の歯で食べられるということは、何ものにも代えがたい幸せです。歯に不安を感じたら、歯の神様にお願いしてみるのもいいかもしれませんね。山の辺の道の歯定神社や、吉野山の弘願寺あたりがおすすめです。
ミル貝にも劣らぬそのお味。波貝(なみがい)のお刺身のご紹介でした。