深海のアイドル。
可愛らしい見た目で、フィギュアにでもしたくなるフサアンコウの仲間です。
新鮮なミドリフサアンコウが入荷したので、丸ごと料理するアクアパッツァにしてみました。残念ながら皮は食べられませんが、アンコウと同じく骨まで柔らかい魚です。
緑総鮟鱇(ミドリフサアンコウ)。
アンコウ目フサアンコウ科に分類される深海魚です。赤あんことも呼ばれ、適度に締まった白身が絶品でした!
ミドリフサアンコウの捌き方!丸ごと食べる魚
ミドリフサアンコウは基本的に丸ごと頂きます。
概ね全長30cm前後の魚ですが、この日入荷したのは20cmにも満たない小型の個体でした。唐揚げや煮付けが定番料理ですが、冷蔵庫にセミドライトマトが余っていたのでアクアパッツァに仕立てます。
ミドリフサアンコウのアクアパッツァ。
ちょっぴりグロテスクなのが玉に瑕でしょうか(笑)
味は河豚にも似て、締まった白身がとても美味しかったです。まるで海苔のような風味が楽しめる陸海苔(おかのり)と合わせます。おかのりはオクラと同じく、アオイ科の一年草です。カルシウムやミネラルを豊富に含む健康野菜で、積極的に摂取することをおすすめします。
ミドリフサアンコウとアオミシマ。
これはもう、”深海のおもちゃ”ですね。こんな色鮮やかなフサアンコウが深海に棲息しているとは、底知れぬ何かを感じます。創造主の戯れでしょうか。
ミドリフサアンコウから取り出した胃袋。
「アンコウの七つ道具」と言われるように、胃袋も食べることができます。アンコウほど歯は鋭くなく、比較的卸しやすい魚でした。皮はまるで鮫肌のようにザラザラしています。山葵でもおろせそうですね。
ミドリフサアンコウの胃袋。
黒っぽい色をしていました。
エキストラバージンオリーブオイルをたっぷり利かせます。
頭部の骨は一部硬くて断念しましたが、概ね全身を隈なく食べることができます。アンコウの仲間の骨は、噛むとぐしゃっと潰れます。独特の食感で、骨ごと食すことも可能です。
小さい魚体のため、歩留まりは悪いと言わざるを得ないでしょう。
可食部が少ないのです。
とは言え、それを補って余りある魅力を持ち合わせます。
剥製にしてみたくなりますね。
よ~く見てみると、体の底部周辺にヒラヒラが付いています。おそらく海中でヒラヒラさせながら泳いでいるのでしょう。
真正面から見ると、どこか豚に似ています。
お世辞にもお洒落な一皿とは言えませんが、ありのままのミドリフサアンコウの姿です。
さて、初めての魚は卸し方が気になります。
写真で順に追いながら、簡単に説明致します。
まずは頭部の付け根あたりに包丁を入れます。
この際、切り離さずに腹の皮一枚を残しておきます。出てきた胴体の身を頭の方向へ引っ張り出します。
こんな感じ。
胴体を引っ剥がしたら、次に頭部の皮も剥がします。
全身の皮を剥かれたミドリフサアンコウ。
包丁で皮を引く必要は無く、手で剥き取ります。最初に内臓さえ抜いておけば、後は皮を剥がすだけです。フライパンで焼いている途中に、目はポロっと落ちました。ミドリフサアンコウの目は硬く、食用ではありませんのでそのまま廃棄します。
誘引突起のようなものも見られますね。
カワハギなどもそうですが、身ぐるみ剥がされた魚はどこか拍子抜けの感が拭えません。
三重県尾鷲市の名物に、ミドリフサアンコウのみりん干しがあるようです。近くを訪れる機会があったら、是非購入してみようと思います。