外国人観光客のお客様が来られた日、青い目のメジナが入荷しました。
ちょっとした洒落にも通じるかなと思い立ち、メジナをお造りにして出してみました。引きの強い磯釣りの対象魚として人気のメジナですが、晩秋から初春にかけてのメジナは「寒メジナ」と呼ばれるほどの美味しさです。
メジナの刺身。
金色の木の葉型のお皿に盛り付けます。
黒斑ウロコ!メジナの名前の由来
関西エリアではメジナのことをグレと呼びます。
夏場は少し臭味が気になりますが、晩秋から冬にかけてのメジナはとても美味しく「寒グレ」として人気があります。
綺麗な青い目をしています。
その澄んだ目を見ていると、棲息場所のブルーオーシャンを思わせます。青い瞳の外国人を連想させますが、英米には Opal-eye (オパール色の眼)という呼び名もあるようです。
捌いたメジナを梨割りにするところ。
メジナの漢字表記には眼仁奈、目近魚などがあります。
メジナの特徴の一つに、目が吻(口)に近い場所に付いていることが挙げられます。メジカナ(目近魚)が転訛してメジナになったとする説・・・魚を「ナ」の音で表現するのは、難波の地名由来である「魚(な)庭(にわ)」にも通じますよね。その昔は海であったと伝わる大阪の難波(なにわ)のことを思い出しました。
名前の由来には様々な説が唱えられますが、メジナに関しても、その鱗(うろこ)に由来するという考え方もあるようです。
こちらがメジナの鱗(ウロコ)です。
うろこの付け根に黒斑が見られます。
中国ではこの黒いうろこをスイカの種に例えていますが、密集した丈夫なうろこを纏うことで、全体的に黒っぽく見えているのではないでしょうか。九州地方では、その体色からクロという名前でも呼ばれています。
黒斑のある鱗を ”目地” に例えて、目地魚(めじな)とする説もささやかれます。
水洗いをしてお腹の中を見てみると、黒っぽい色をしていました。
内臓に臭みが感じられるので、傷を付けないように綺麗に取り除きます。
メジナは季節によって食性に変化のある魚で、夏は主に甲殻類を食べていますが、冬になると主に海藻を食べるようになります。そのため、冬のメジナは磯臭さも感じられず、大変美味しい食材として人気を集めます。
メジナの歯。
歯も随分特徴的です。
小さくて柔らかい櫛状の歯がたくさん並んでいます。
大神神社一の鳥居をくぐり抜けた所に架かる渕本橋。
外国人観光客の今回の旅行目的は大神神社参拝。
正式な形に則って参拝したいとのことで、大鳥居ではなく、まずは一の鳥居を通ってからお参りになられました。この場所は夏越の祓えのおんぱら祭の時に、たくさんの露店が出て賑わうエリアとして知られます。
メジナの尾びれ。
尾びれの基部の幅が随分広いですね。
全体的にずんぐりとした体型のメジナは、頭も尾っぽも丸みを帯びています。
メジナの腹骨。
にょきっと山のように尾びれ方向に突き出ています。腹骨をすくと言うよりは、腹骨をすくい取るといった感じで処理しました。
美味しそうな白身です。
メジナのことを関西地方では「グレ」と呼んでいます。その棲息場所である磯のガレ場(瓦礫場)に由来するグレという呼び名。私は奈良県人ですから、グレの方がメジナよりも親しみを感じます。
磯竿と言えば、メジナ(グレ)。
海が荒れるとメジナの入荷が多いとされますが、釣り人にとってもメジナのヒットは何物にも代えがたい快感です。
大神神社のさざれ石。
日本の国歌にも謳われるさざれ石。悠久の時の流れを、さざれ石が”巌”となるまでの時間に例えます。なんだか不躾なことですが、塵も積もれば山となるではありませんが、小さなさざれ石がメジナの鱗のようにも見えてきます。
伊豆方面ではクチブトという名前もあるようです。
スズキ目メジナ科に属するメジナ(グレ)は、冬に旬を迎える青い目をした魚です。