北海オコゼとも呼ばれるケムシカジカ(毛虫鰍)。
見た目がグロテスクで、一度見たら忘れられない魚です。厚い皮の下にあんこうのような身を持つ白身魚で、オレンジ色の肝も絶品です。やや旨味に欠ける魚ですが、汁物や唐揚げには向いているでしょう。
まるで怪獣のようなケムシカジカ。
鋭い歯がたくさん付いています。顎の形状などは、まさしくアンコウに似ています。ケムシカジカは北海道、青森、岩手、宮城などの北の海に棲息しています。背びれに鋭い棘を持ち、刺されるとチクチク痛むようです。虎魚(おこぜ)などとは違い、棘自体には毒がありませんのでご安心下さい。
ニンニク生姜の漬け汁!旨味をまとわせて揚げる料理法
ケムシカジカのおろし方ですが、内臓やえらを取った後に皮を剥きます。
鱗は付いていませんので、分厚い皮をカワハギのように剥がします。皮を剥く調理法から、カワムキカジカとも呼ばれています。あるいは唐揚げにする際は、皮付きのまま揚げてもいいと思います。
ケムシカジカの唐揚げ。
今回は皮を剥き、アンコウのような剥き身にしてから一口大に切り漬け汁に浸しました。酒、醤油ベースにおろし生姜とおろしニンニクを加え、ケムシカジカを浸します。30分ほど漬け込んだら、水気を拭いて片栗粉をまぶして揚げます。
でっぷりとした腹。
かつては北海道の産地から、当別(とうべつ)かじかと呼ばれていたようです。
念のため水洗いの前に、背びれの棘を切っておきました。「毛虫鰍(けむしかじか)」の名前ですが、チクチク痛む棘が毛虫を連想させるからでしょう。
ケムシカジカの肝と、コシナガマグロの卵巣。
真ん中のオレンジ色のものが、ケムシカジカの肝です。甘辛く煮付けてみましたが、とても美味です。たまに寄生虫がいることもあるようですので、よく観察してから料理するようにしましょう。
ケムシカジカの肝と胃袋。
胃袋も中をしごき出せば食用になります。
目が突き出て蛙のようです。
ひっくり返した腹側も、腹びれの付く位置が蛙の脚を思わせます。
おや?これは咽頭歯でしょうか。
表の歯で噛み切れなかったものを、奥の咽頭歯で噛み砕きます。
表の歯。
小さい歯が数えきれないほど付いていますね。
特徴的な斑紋。
ケムシカジカは頭部や中骨からもいい出汁が出ます。カジカ汁にすると美味しいでしょう。
滅多に出回らない魚です。
ケムシカジカの旬は秋から冬にかけてと言われます。初夏のこの時期に、割と新鮮な状態で届いたケムシカジカに敬意を表し、心を込めて料理致しました。