般若寺の白鳳阿弥陀如来を特別拝観

般若寺の秘仏公開へ行って参りました。

『白鳳阿弥陀如来と胎内仏三尊』と題する特別公開で、境内の片隅にある宝蔵堂に於いて般若寺の秘宝が公開されています。毎年春と秋に催される企画展示のようです。

般若寺特別公開の冊子

特別公開の冊子とコスモス散華。

宝蔵堂で頂いたコスモス散華には、「健康安全」「無病息災」と記されていました。

般若寺の本尊は八字文殊菩薩騎獅像(はちじもんじゅぼさつきしぞう)です。江戸時代に再建された本堂内に収められており、鎌倉時代の重要文化財とされます。同じく重文指定を受けている阿弥陀如来様ですが、一見すると幼児体形をなさっています。頭と手足が大きく造られ、全体的なバランスからデフォルメされている印象を受けます。

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複連点紋を施した精緻な白鳳仏

童子のようなお姿の阿弥陀如来。

お顔を拝見しても、あどけない若々しさが伝わってきます。興福寺収蔵の山田寺の仏頭も白鳳仏として知られますが、どこかあの雰囲気に似ています。手のポーズである印相は、スタンダードな施無畏印と与願印。小さな身体には不釣り合いなほどの大きさです。

般若寺境内

十三重石宝塔から本堂を望みます。

小冊子の表紙には、阿弥陀仏を包んでいたという錦のうちしきが描かれています。

この錦は足利義満が奉納した熊野速玉大社の国宝・神宝箱の内張と同じなんだそうです。特別公開中の阿弥陀如来ですが、まだ発見されて間の無い仏像です。1964(昭和39)年に行われた十三重石宝塔の修理の際、五重軸石(四重笠石と一体)から発見されました。

西国三十三所観音石仏

拝観受付近くで出迎える西国三十三所観音石仏

元禄15年(1702)、山城国北稲八間の寺島氏が病気平癒の御礼に奉納したものと伝わります。

般若寺阿弥陀如来

阿弥陀如来の写真と十三重石宝塔。

やっぱり手足が大きい!まるで漫画の世界です(笑)

聖武天皇が平城京の鬼門鎮護のために奉納したと伝わる仏像です。昔の文献を見れば共通して言えることですが、政(まつりごと)には方角が重要視されてきました。平城京から見て北東方向にある般若寺は、ちょうど表鬼門に当たります。この小さな仏像が奈良の都を守っていたのでしょうか。

般若寺阿弥陀如来

白鳳仏特有の微笑みを浮かべます。

衣文には複連点紋(ふくれんてんもん)が施され、小さいながらも精緻な仕上げとなっています。複連点紋とは衣の稜線に施された装飾で、櫻本坊の釈迦如来坐像などにも見られます。よく観察してみると、阿弥陀如来が立つ台座の稜線にも複連点紋が施されていました。

特筆すべきは、蓮台内から出てきた胎内仏三尊ではないでしょうか。

阿弥陀仏の台座部に、和紙に包んで納入されていたそうです。

阿弥陀如来の胎内仏三尊

こちらが、その胎内仏三尊。

左から地蔵菩薩、大日如来、十一面観世音菩薩です。

宝蔵堂内では、このミニ仏たちも併せて拝観可能です。

大日如来などは特にミニサイズで、よく目を凝らして見ないと表情すら分かりません。総高はなんと5.2cmなんだそうです。胎内仏三尊は平安時代の重要文化財に指定されており、伝来の念持仏である可能性もうかがわせます。

般若寺本堂

般若寺本堂。

堂内では、獅子に乗る文殊菩薩を拝みます。

安倍文殊院の巨大な文殊菩薩に比べればちっぽけなものですが、光背も含めて実によく出来た仏像です。何といっても般若寺の御本尊、是非手を合わせておきましょう。

秘仏特別開帳の看板

秘宝・秘仏特別開帳の立て看板。

本堂裏手にひっそりと佇む宝蔵堂内の拝観ですが、通常拝観料とは別に、特別拝観料の200円が必要となります。開扉時間は午前9時~午後4時となっていますので、ご興味をお持ちの方は足を運んでみて下さい。

般若寺宝蔵堂の門

宝蔵堂へ続く門。

寂れた感じの門が開いており、昔の伽藍配置図が案内されていました。かつては今よりも広い境内を有していたようです。

般若寺宝蔵堂

般若寺宝蔵堂

入口の引戸は固く閉ざされていました。

写真撮影お断りの札が掛かり、その前には銅鑼が置かれています。

般若寺宝蔵堂の銅鑼

どうやらこの銅鑼を打って、拝観希望を伝えるようです。

白鳳秘仏の阿弥陀如来!期待に胸が膨らむ瞬間ですね。

宝蔵堂内では、他にも神功皇后絵馬、雨宝童子、菅原天神、青銅相輪などを見学することができます。

般若寺阿弥陀如来

十三重石宝塔から発見された阿弥陀如来。

長い間日の目を浴びることもなく、ただひっそりと石塔の中で祈り続けてきた仏像です。般若寺の秘蔵っ子とでも称すべき、有難い仏様ではないでしょうか。

般若寺楼門とコスモス

般若寺楼門と境内のコスモス。

今でこそ、経年による緑青が見られる阿弥陀如来ですが、元は金色に輝く仏像であったはずです。

十三重石宝塔には丸い納入穴があり、そこから錦の布に包まれた木箱が発見されたと言います。その中に納められていた ”秘蔵っ子” の阿弥陀如来。箱書きには「闇浮檀金ノ阿弥陀如来」とあり、聖武天皇が奉納した霊像と記されていました。

山吹やコスモス、水仙など、般若寺に開花する花を目当てに参拝する人も多いと思いますが、仏像拝観の寺としても注目してみたいと思います。