聖林寺の冬の境内では、南天や千両が華やぎを添えます。
本堂の北側には座布団を敷いた縁側のようなスペースが用意されています。
聖林寺から眺める三輪山や箸墓古墳の風景。
大和の風景を一望できるところも、聖林寺観光の見所のひとつとなっています。
木の実降り ひよ鳴き天平観世音
聖林寺を詠った水原秋桜子の一句ですね。
聖林寺の十一面観音菩薩像。
国宝で有名な十一面観音菩薩は、慶応4年(1868年)に大御輪寺(大神神社の神宮寺)より移されてきました。
フェノロサ、岡倉天心らによって開扉されて以降、美しい天平彫刻のお姿で人々を魅了し続けています。
十一の顔で優しく包み込む国宝仏像
第一回の国宝指定を受けた24ある文化財の内の一つであり、由緒正しい仏像でもあることが伺えます。
全ての人々を救う能力のあることを、頭上の11の表情で示しています。
様々な表情であらゆる人々の苦難を除去して、救いの手を差し伸べる十一面観音菩薩。
「ホトトギス」に新風を吹き込んだことで知られる俳人の水原秋櫻子が「天平観世音」と称した仏像は、文字通り天平時代を代表する仏像として名を馳せます。
十一面観音菩薩のしなやかな右手。
右手は下ろし、左手には蓮華を挿した水瓶(すいびょう)を持っています。
腕から足に伝わる、柔らかい曲線を描く天衣が印象的です。台座の一部を除けば、造立当時のままの姿を維持しています。
像高は2m9cmの木心乾漆像(もくしんかんしつぞう)。
ミロのヴィーナスとも比較される仏像彫刻の傑作です。
聖林寺の本堂には子安延命地蔵菩薩が安置されています。
子宝に恵まれると伝えられるご本尊です。
江戸時代中期(元禄時代)の石造仏で、高さは3.5mにも及びます。
子安延命地蔵菩薩の左右には、掌善・掌悪童子が侍っており、地蔵三尊の形式をとっています。
聖林寺では、安産・子授けの祈祷が随時行われています。
子安延命地蔵菩薩の祀られる本堂横の出口から、国宝十一面観音菩薩が安置される観音堂への階段がつながっています。観音様は本堂よりさらに高台にいらっしゃいます。
日本国中に観音様は数あれど、第一回の国宝指定を受けた聖林寺の十一面観音菩薩様。
訪れてみる価値はありますね。
聖林寺の拝観料は400円です。
300円の有料駐車場が山門を下りた所に用意されています。