五色幕の意味を聖林寺に思う

千両、万両、南天の実が境内のあちこちに見られる聖林寺

霊園山(りょうおんざん)と書かれた額の下に五色幕(ごしきまく)が掛かっていました。全国各地のお寺で目にする五色幕は、仏教における五つの智慧を表しています。

聖林寺の五色幕

聖林寺の五色幕。

霊園山は聖林寺の山号ですね。

質素でつつましやかなお寺の風景に鮮やかな色合いで溶け込む五色幕に、どこか救われたような気持ちを抱く人も多いのではないでしょうか。

向かって右から紫、白、赤、黄、緑と続きます。

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仏教と色の関係!陰陽五行に由来する五色幕

陰陽五行説の五行配当色に由来すると言われる五色幕。本来であれば、青、白、赤、黄、黒の五正色(ごせいじき)となるはずですが、中間色である紫色や緑色もよく使われます。この場合の紫や緑は五間色(ごけんじき)と呼ばれているようです。赤の代わりに紅色が用いられることもあります。

聖林寺の南天

聖林寺境内に実を付ける南天。

花の少ない冬の時期、小粒ながらも赤々と実る南天を見ていると元気が湧いてきます。

五色幕で言うところの赤は、物事の本質を明らかにする智慧を表します。物事の本質を赤裸々にするということなのでしょうか、赤い色には強いパワーが感じられますね。神社の狛犬が掛けている赤いヨダレかけには魔除けのパワーが秘められていると言われますが、古来より赤は特別な色であったことが伺えます。

聖林寺の雪

雪が少し残っていました。

平地に比べて少し高台に佇む聖林寺。わずかに気温も低いのかもしれませんね。

五色幕の白は、全ての物が平等であることを知る智慧を表します。

平等が白というのも何となく頷けます。全てのものを白紙に戻して、分け隔てなく平等に観る姿勢を持ちたいものです。人は等しい。私の記憶が正しければ、毎月11日は人権を確かめ合う日に当たります。1が並んで、人が並ぶ。五色幕の白に、今一度自分の姿勢を問い質してみます。

聖林寺十一面観音

聖林寺の国宝・十一面観音立像。

五色幕の青(紫)は、あらゆるものを完成に導く智慧を表します。

青のイメージは大空や大海原に通じるのでしょうか。大宇宙を感じさせる無限大の青。オーシャンフロントに立ち、未開拓の領域に思いを馳せます。完成したと思っていても、まだまだ遠い。そんな悟りの境地に似たものが青い色には感じられます。色即是空、無常観はいつの世も空に通じています。

聖林寺の五色幕

青、白、赤に続く黄色は、鏡のようにあらゆるものを差別なく見る智慧を表します。

鏡のように差別なく。

聖林寺のある奈良県桜井市は相撲発祥の地とされますが、土俵の中央も黄色を表しています。NHKの相撲中継を聴いていると、アナウンサーが赤房下、青房下という表現を用いていることに気付きます。土俵の四隅を赤房、青房、白房、黒房で表現しています。

生年月日から割り出した私の星は五黄土星です。

大宇宙の中心部分を表しています。そう、真ん中なのです。それと同じように土俵の中央も黄色で表現されます。丸い土俵を見ていると、鏡の絵が重なって見えてきます。体重別で争われる柔道などとは違い、無差別級の申し合いである相撲には、「鏡のように差別なく」という言葉がしっくりきます。

聖林寺の鬼瓦

軒下に鬼瓦が置かれていました。

最後になりましたが、五色幕の黒(緑)は、平等であってもそれぞれが違うものであるということを知る智慧を表します。今風に言えば、オンリーワンを尊重する見方にも通じます。

仏の世界でもオリジナリティは尊ばれているようです。

青、白、赤、黄、黒の五正色は荘厳に用いられる色で、決して法衣に用いてはならないとされています。そう言われてみれば、法衣には質素で落ち着いた色が使われていますよね。

仏教と色の関係には、古来より言い伝えられてきたメッセージが込められています。お寺へ参詣する時には、ご自身の目で確かめてみられてはいかがでしょうか。