近鉄吉野線の葛駅近くに弘法大師の井戸がありました。
「大師の恵」と命名された井戸で、比較的新しい時代のもののようです。弘法大師が枕元に立ったという伝承が残ります。実はこの日、大和清九郎会館のある因光寺を目指しました。道に迷い、辿り着いたのが「大師の恵」でした。
弘法大師の井戸「大師の恵」。
覆い屋根に水車も付いていました。地域住民と共にある井戸ですね。
葛公民館近くの葛村道路元標
壺阪山駅方面から県道120号(五條高取線)に入り、南西に車を走らせます。
戸毛地区に到着すると、丁字路の突き当りに御所市立葛公民館がありました。公民館の東方に近鉄葛駅はあります。因光寺のある場所は、線路を渡ったさらに東のようです。この辺りは丹生谷という地名で、駅の東側は切り立った崖でした。うろうろ歩き回る内に、四つ角に井戸を見つけた次第です。
弘法大師の井戸。
全国各地に空海の井戸は伝承されますが、こちらの井戸は少し勝手が違うようです。空海が杖を立てて掘り当てた井戸ではありません。井戸の館の上に、弘法大師空海が出現したと言います。夢の中のお話ですが、井戸を大切にしてきた人々の心の現れなのかもしれませんね。
近鉄吉野線葛駅。
奈良県民でも葛駅を降り立った人は少ないでしょう。昔ながらの駅舎が往時を偲ばせます。後になって分かったことですが、因光寺はこの駅舎の左奥の方向にあります。
葛公民館の右手に大日如来堂がありました。
このすぐ近くに葛村道路元標があり、葛エリアの中心地であることを匂わせます。
お堂の中の大日如来様。
印相は智拳印ではありませんね。お腹の前で禅定印を結んでおられます。
御所市葛公民館。
巨勢寺塔跡まで900mと案内されています。今来た道を引き返せば、市尾宮塚古墳です。
葛村道路元標。
大日如来堂の右手に建っていました。
県道120号と並行して流れる曽我川。
観光案内板に「常楽寺(じょうらくじ)」と出ていますね。常楽寺には身代わり地蔵が現存するようです。矢を射られた村人の身代わりになったと伝わります。
曽我川の西には国道309号が走っています。
御所市戸毛。
戸毛(とうげ)という地名から、県道133号(戸毛久米線)を思い起こす人も多いでしょう。御所市戸毛を起点とし、橿原市久米町を終点とする一般県道ですね。
近鉄葛駅のプラットフォーム。
単線の駅でした。
「大師の恵」の由来。
衰退していた時期もあったことが記されています。
弘法大師像。
ひょんなことから出会った井戸ですが、空海信仰の裾野の広さを改めて感じました。
浄土宗の西方寺。
弘法大師の井戸から西へ向かうと、お寺がありました。
「浄土宗不遠山西方寺」と刻みます。
不遠山は山号ですね。
一瞬因光寺かなと思い立ち寄ったのですが、残念ながら空振りでした。つい先日、光蓮寺(大和清九郎の墓)を訪れました。光蓮寺は山深い大淀町鉾立にあります。「親孝行の妙好人(みょうこうにん)」と称される大和清九郎。因光寺には清九郎の像が建っているようです。大体の場所は把握できたので、次回の宿題と致します。