なら歴史芸術文化村の芸術文化体験棟。
3階の交流ラウンジ脇に、可愛らしい土偶と埴輪が展示されていました。
黒田大スケさんによる文化村クリエイション『湖底から帆』と題するイベントのようです。展覧会マップの裏側に、柳本飛行場にまつわる話題が掲載されていました。戦争遺産の防空壕を見学した記憶が蘇ります。
展示品の埴輪。
左が枕木用の丸太を運ぶ少年埴輪で、右が飛行場建設のために石を運ぶ少女埴輪のようです。
低木を結ぶ滑走路跡!柳本飛行場の記憶を辿る
柳本飛行場の滑走路跡。
興味深い負の遺産ですが、今も見ることが出来るそうです。
太平洋戦争末期に田畑を引き裂くように敷かれた滑走路。戦後まもなく農地に戻されましたが、排水用の側溝は一部そのままに残されました。表面には土が被せられ、周辺に馴染んでいるように見えますが、土が浅くて農地には利用できません。そのためそこには低い木が生え、木と木を結ぶラインが滑走路の跡とされます。
赤茶けた野菜葉の下に隠れる土偶。
テーマは重いのですが、土偶らしいフォルムに思わず頬が緩みます。
表題の『湖底から帆』を表しているのでしょう。
アートはいいですね、解釈の広がりを感じさせます。
デッキに出て、南方を望みます。
正面に見えている墳丘は東乗鞍古墳でしょうか。
緊急避難用機具ですね。
ORIRO、ネーミングが面白い!
柳本や長柄周辺を歩いていると、戦争の痕跡を強く感じます。
少し西側の唐古鍵遺跡史跡公園へ行くと、高角砲台跡があります。柳本飛行場を守った砲台で、貴重な太平洋戦争の遺跡とされます。
土偶の案内がありました。
右:空襲警報をきいて、佐保庄のあたりで日照りのためほとんど赤茶けた野菜の葉の下に隠れる土偶
中:長柄周辺で飛行場建設のために石を運ぶ14歳の少女埴輪
左:枕木用の丸太を運ぶ10歳の少年埴輪。正面中央部の穴に実際の木の棒を入れて丸太に見立てていた可能性がある。
文化村周辺で拾った土器片、発泡スチロール、石膏、アクリル絵の具 2023周辺の散策で拾った実物の土器片から想像して造形した。復元された埴輪の模型展示などを参考に、天理周辺の戦争体験の手記をもとに製作した。
二度と同じ過ちを犯してはならない。
高齢化社会とは言え、どんどん戦争体験者が減っている現状があります。
語り部の重要性もさることながら、こうしたアート作品に想いを込めることも大切です。
実際に昭和レトロを知らないZ世代でも、ノスタルジーを共有することは出来ます。昔懐かしいものは誰でも懐かしいのです。エモいやチルいといった若者言葉にも、どこか潜在意識下でのつながりを感じます。
そういうきっかけを作る場なのかもしれません。
実際に戦争を体験していないけれども、DNAに刻まれた共通認識のようなもの・・・そこに触れるチャンスがあるのなら、足を向けてみる価値はありますね。
ホテルと交流にぎわい棟。
交流にぎわい棟では美味しいとんかつが食べられますので、おでかけの際は是非!奈良の伝統工芸品、奈良産の野菜なども販売されています。
桜井市と並んで古墳の多い天理市。
特になら歴史芸術文化村のある杣之内町周辺は密集地帯と言っていいでしょう。