大神神社の結婚式では、巫女神楽として浦安の舞が奉納されます。
大神神社の行事が催される際、私も何度かこの浦安の舞を拝見させてもらったことがあります。浦安の舞と言うからには、千葉県の浦安市と何か関係があるのかと単純に想像してしまいますが(笑)、全く関係がないことを改めて記しておきます。
植物の芽吹きと大神神社参集殿。
大神神社結婚式の際、着付け等の支度をする場所は大礼記念館と参集殿のどちらかになります。現在では三輪山会館も支度部屋として使われているようですが、参集殿での花嫁支度の場合、廊下伝いに儀式殿まで移動することになります。
平穏な心で舞う浦安の舞
鈴を鳴らしながら邪気を払う浦安の舞。
清められた空間に身を任せながら、生演奏の雅楽に酔い痴れます。
私個人としても、大神神社のお守りに「みわ鈴」を買い求めたことがあります。
鈴の音色を聞いていると、自然と身も心も清められたような気がしてくるものです。日本の苗字に多い鈴木さんのご先祖は神主さんだと言います。神職に関係の深い鈴木姓に「鈴」の漢字が使われているのも、不思議なご縁を感じますね。
大神神社結婚式の会食会場「料理旅館大正楼」。
奈良県御所市にある油長酒造さんの「風の森」ですね。お客様たってのご希望で、鏡開きの酒樽として搬入させて頂きました。座席の並びを見てみると、当時はまだお座敷スタイルだったことがうかがえますね。現在では座敷用宴会テーブルと高座椅子に仕様変更しています。
浦安の舞の「うら」は、古語の「心(うら)」を意味しています。
外からは見ることの出来ない「裏」が元の意味になっています。
私たちが日常よく使う言葉に、「羨ましい」という日本語がありますが、「羨(うらや)む」という言葉は「心病(うらや)む」に通じます。そうなんです、妬みやジェラシーは心が病んでいる状態のことを意味しているんですね。
うら悲しいという表現も、心(うら)が悲しいということになります。
翻って浦安の舞の「うらやす」は、心の中が平穏な状態のことを指しています。明鏡止水というか、すっきりとした心安らかな状態を言います。
神奈備三輪山。
「浦安の国」は日本の美称でもあります。
心の安らかな国、そんな形容が三輪山を背にする大神神社にはよく似合います。
古代日本国家誕生に密接につながっているとされる神体山の三輪山。浦安の国が産声を上げた地で舞われる浦安の舞。厳かに執り行われる大神神社結婚式の場で、是非浦安の舞を見てみたいものですね。