古墳見学でいつも思うこと。
石室の中はどれも似通っていてオリジナリティに乏しいものがありますよね。
まぁ専門家であれば、細部の違いを一瞬で見分けることが出来ると思います。ところが、私も含め素人の観光客には難しいですよね。そんな中でも、桜井市浅古にある秋殿南古墳の石室は分かりやすいかもしれません。
秋殿南古墳の横穴式石室。
羨道が一段積みで、奥の玄室は二段積みの構成です。
羨道から奥を見やると、奥壁に亀裂が入っているのが確認できます。まるでブラックジャック!
7世紀前半の方墳!同一尾根には秋殿北古墳
南古墳があれば北古墳もあります。
残念ながら同一尾根上に築かれた秋殿北古墳は、現在のところ石室見学は不可能です。墳丘中央付近が陥没してしまっているようです。
すぐ東にはこうぜ古墳群もあり、鳥見山南麓は古墳の密集地帯となっていました。
玄室奥壁を背にし、開口部に向き直ります。
玄門部に注目すると、水平に渡された楣石(まぐさいし)も巨大ですね。
秋殿南古墳には切石状の巨石が見られることから、岩屋山式に近いものを感じます。時代的には、明日香村の岩屋山古墳よりも少し前のようです。
入口部の巨石など、人工的な跡がうかがえます。
明日香村の打上古墳や塚本古墳とも同一設計ではないかと推測されています。
秋殿南古墳の石室開口部ですが、案内板の右後方に当たります。草が生い茂っていて分かりにくいですが、わずかに人の踏み均(なら)した跡があります。
ここです。
よ~く目を凝らして見ると、左上へ上がっていく道が付いていますね。
まるでブラックジャック・・・頬の傷跡のような奥壁が見えます。
玄室空間は花崗岩の2段積みです。
棺はおろか、葺石や埴輪、副葬品なども見つかっていないようです。もちろん、被葬者も不明のままです。謎の多い古墳ですが、古代の姿をそのままに残している点で貴重ではないでしょうか。