相撲神社や兵主神社のある穴師。
今まで穴師の集落に足を踏み入れることはありませんでした。ところが、彷徨ってみると面白いものです。大和棟の古民家や常善寺など、新たな発見があります。集落の東隅の方まで足を延ばすと、ポツンとお地蔵様を祀るお堂が建っていました。
穴師集落東方の地蔵堂。
向こうに三輪山を望みます。
観光マップに出ているようなお堂ではありませんが、人知れずそこにありました。
一願成就地蔵や首無地蔵!坂道を経由して森岡農園へ
集落の入口付近を守るお地蔵さん。
そういう位置付けでしょうか。
地蔵堂からカーブを描いて伸びる道は、檜原神社へと続いていました。
一願成就地蔵菩薩。
堂内手前に立つ地蔵菩薩です。両手を胸の前で合わせ、静かに瞑想します。
お堂の左横に案内が出ていました。
大正4年地蔵堂新築以来、約100年老朽化のため平成25年7月24日再建成る。
推定450年村人の信者篤信者により祀られし首無地蔵、子安地蔵等堂内奥に祀る。
正面には一願成就地蔵菩薩像一躰を安置し、永劫に五穀豊穣、村内安全、無病息災、一願成就を奉修祈念し奉る。地蔵講敬白
大正4年に竣工した地蔵堂。
正面に立つ地蔵はまだ新しく、その奥のお地蔵様が旧来のもののようです。首無地蔵と子安地蔵と案内されていますね。
格子戸の向こうに祀られます。
地蔵堂の妻には、魚の尾びれを垂らしたような懸魚(げぎょ)が見られます。
寺社建築によくある火難除けですね。魚は水を連想させ、火事に遭わないおまじないとして取り付けられます。集落の入口や辻々に建つお地蔵さんは、疫病除けの役目も担っていたことでしょう。
地蔵堂脇の五輪塔石。
上部が欠損していますが、おそらく五輪塔でしょう。
堂内奥の地蔵尊。
首無地蔵なのか子安地蔵なのか、判断の難しいところです。
向かって右奥にも、古びた地蔵石仏を祀ります。
紅白の前掛けにびっしり書かれているのはお経でしょうか。
地蔵堂上手の道標。
檜原神社と景行天皇陵を指し示します。このまま地蔵堂前を通り、穴師の集落を抜けて景行天皇陵へと至ります。
ここを右手へ上がって行くようです。
左へ進むと、集落の中へ入って行きます。
山の辺の道でよく見かける無人販売所ですね。日本人ならまだしも、外国人観光客が見たら驚く一コマです。信頼の上に成り立つものですが、懐の深さを感じさせますね。
天理方面へ向かいます。
穴師坐兵主神社や相撲神社が案内されています。
垂仁天皇の御前で行われた天覧相撲ですが、その記念すべき場所が桜井市の相撲神社です。ここからの距離は500mのようですね。
なかなかの傾斜です。
この道幅なら車の往来も可能でしょう。
坂道から南西方向を望みます。
遥か彼方に二上山、左手前には箸墓古墳が見えています。穴師の集落越しに見る”箸墓後円部”ですね。さらに坂道を登り切って北の方へ出ると、森岡農園の看板が出ていました。
森岡祥章観光果樹園の駐車場。
右手へ上がって行くと、森岡農園の駐車場があります。ちなみに駐車場へと続く道は、相撲神社の裏手を通り兵主神社へも通じています。森岡農園さんのフルーツはとても美味しく、産直市場のまほろばキッチンでいつも購入しています。
名もなき地蔵堂ですが、近代の穴師を見守り続けて来た生き証人です。通りかかったら手を合わせておきたいですね。