箸中長者屋敷跡のネズミモチ

日本昔話にも出てくる『箸中長者』。

今も箸墓古墳の後円部東に箸中長者屋敷跡があります。屋敷跡と言っても田圃があるだけなんですが、その中に不思議なネズミモチの木が植わっていました。

箸中長者屋敷跡のネズミモチ

ネズミモチの木。

ちょうど遮断機の音が鳴って、JR万葉まほろば線の電車が通り過ぎます。

木の周りだけ”区画整備”されたような空間ですね。

不思議なことにこのネズミモチは、何年経っても枯れもせず大きくもならないそうです。その謎やいかに?

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弘法大師の大黒天!御利益を授かった箸中村の清助

この日、私はツクロ塚古墳とツヅロ塚古墳の場所を確かめるため、茅原から箸中エリアを目指していました。

ツクロ塚古墳の北方に空地があり、そこに箸中区自治会による散策案内が出ていました。目を凝らしてよく見ると、「箸中長者屋敷跡」と書かれていることに気付きます。えっ!そんな屋敷跡があったかなと思い、解説文を目で追いました。

箸墓古墳とネズミモチの木

箸墓古墳とネズミモチ。

後円部に西日が当たり、ネズミモチの木を神々しく照らし出します。

立ち入り調査!箸墓古墳見学
卑弥呼の墓ではないかと伝わる箸墓古墳。 その立ち入り調査が話題になり出してから、当日の何時頃から調査が始まるんだろうかとぼんやり考えていました。平成25年(2013年)2月20日の現地調査の朝、午前10時ぐらいだったでしょうか。 ...

日本昔ばなしに出てくる”箸中長者”は造り酒屋を営む人物で、贅を尽くし没落していく過程が描かれています。

食事の後も、使った箸をどんどん捨てて”箸の山”が出来てしまったとか・・・決してハッピーエンドの話ではありません。ところが、このネズミモチの木に由来する箸中長者は、質素倹約を旨とする慎ましい人物だったようです。

今でこそ天皇陵に指定され”立ち入り禁止”の箸墓古墳ですが、昔は墳丘上にお茶屋さんがあったとも言われます。前方部と後円部を斜めに突っ切る近道もあり、周辺住民が日常的に使っていました。

箸中長者屋敷跡の周辺地図

箸中長者屋敷跡の周辺地図。

長者屋敷跡の北には、壬申の乱古戦場もあるんですね。

東に国津神社、南に織田小学校(芝陣屋跡)の位置取りです。西の方には箸中イヅカ古墳と記されていますが、おそらく埋没古墳でしょう。

国津神社のささゆり

国津神社にはササユリが咲いていました。

訪れたのは5月20日過ぎでしたが、割と早く開花するようです。

箸中長者屋敷跡のネズミモチ

箸中長者屋敷跡のネズミモチの木。

南から北を向きます。

生垣などによく見られ、初夏には花序の多い白花を咲かせます。遠目だったためか、花は確認できませんでした。晩秋になると、黒紫色の小さな実を付けます。この実がネズミの糞に似ているため「ネズミモチ」と名付けられています。

箸中長者屋敷跡の解説

箸中長者屋敷跡の解説。

松尾寺縁起に起因するらしい。箸中村の清助は貧しいが信仰心が篤かった。それを聞いた弘法大師は自作の大黒天を彼に与え、さらに信仰心を深めた清助は長者になったという話である。その屋敷跡にはネズミモチの木が植えられていて、今にも元気に立っている。何年経っても枯れもせず大きくもならない。

弘法大師空海作の大黒天。

清貧生活を送っていた清助に届けられた大黒天には、弘法大師の想いが詰まっていたのでしょう。三輪山に鎮まる大物主命とも重なりますね。大物主と大黒天は同一視されます。三輪山を東に仰ぎ見る場所に、箸中長者は暮らしていたのですね。

ネズミモチとシロツメクサ

シロツメクサとネズミモチの木。

ネズミモチは常緑高木で、モクセイ科イボタノキ属に分類されます。萌芽力の大変強い植物のようです。

箸中長者屋敷跡のネズミモチ

こんな所に箸中長者屋敷跡があったとは思いもしませんでした。

近場の再発見が続く日々・・・これもコロナショックの副産物ですね。負の側面ばかりがクローズアップされますが、プラスに転換する好機かもしれません。遠い観光地よりも近くの穴場。意外とたくさんあるものです。灯台下暗しや宝の持ち腐れとは、もうおさらばしましょう。

国津神社のササユリ

レイライン上に鎮座する国津神社。

社殿の裏には径15mの円墳があるようです。宮ノ前古墳と呼ばれ、墳丘上には大きな石が三つ確認できます。

上街道の解説

上街道の解説。

古代から続く上ッ道を引き継ぎ、奈良と桜井を結ぶ街道である。奈良の猿沢の池から桜井の慈恩寺までつながっている。平安貴族の長谷寺参り、近世の伊勢へのおかげ参りと多くの人々が行き交った。
※壬申の乱古戦場 日本書紀 天武天皇上元年7月の条「三輪(みわの)君(きみ)高市(たけち)麻呂(まろ)、置始連莵(おきそめのむらじうさぎ)、上道に当たって、箸陵のほとりで戦う。大いに近江軍を破り・・」

古来より賑わった上ツ道。

歴史の転換点でもあった壬申の乱ですが、その古戦場にもなっていたようです。

箸中長者屋敷跡のネズミモチの木

ポツンと一軒家(^.^)

箸中長者を称えるように、その緑を保ち続けるネズミモチの木。

なんだかホッとする一コマですね。