天理市柳本町の長岳寺。
山号を釜口山と言い、弘法大師空海が大和神社の神宮寺として創建したお寺です。
関西花の寺第19番札所に名を連ね、ツツジの名所としても知られます。真冬のこの時期は華やかさに欠けますが、長岳寺肘切門前の勧請縄からさらに下って来た所に、珍しい格好の地蔵石仏が祀られていました。
長岳寺門前の地蔵石仏。
舟形光背を負い、頭上には梵字を刻みます。明治三十年の文字が確認できますね。右手に錫杖、左手には数珠を握り締めているようです。全体的に幼い雰囲気のお地蔵さんです。
幼児の描いた絵を連想させるお地蔵様
なんとも可愛らしいお地蔵様です。
肩から腕、指先にかけてのラインが幼児の絵を思わせます。水子供養のお地蔵様なのでしょうか?足も細くて小さく、どうやらスカートを履いているようです。刻まれた日にちは命日なのか?様々なことを連想させるお地蔵さんです。
幼子(おさなご)のお地蔵さんから山の辺の道を南へ下ると、また一体お地蔵さんが立っていました。
こちらの地蔵石仏には美しい衣文が描かれ、左手には宝珠が見えます。梅の花も開花し、いよいよ ”春待ち” の空気が流れていました。
長岳寺門前の石仏群と木の根っこ?
「下馬」の石標傍に、数多くの地蔵石仏が祀られていました。今にも崩れ落ちそうな断崖に木が立ち、その根元からは長くて太い根っこのようなものが伸びていました。
ここは山の辺の道と龍王山への分岐点に当り、数多くのハイカーが行き交う場所です。その路傍に祀られているのが、冒頭の幼い雰囲気を身に纏ったお地蔵さんです。
長岳寺境内には弥勒石棺仏など、注目に値する石仏があります。それに比べれば、見過ごしがちな石仏でしょう。誰もが気にも留めないお地蔵さんが、山の辺の道の曲がり角に立っています。
名もなき石仏ですが、妙に心を捉えて離しませんでした。