三輪山麓の磐座を見学してきました。
標高467mの三輪山の頂にも奥津磐座群がありますが、その麓にも数多くの磐座が見られます。
平等寺の影向石、九日社の陰陽石、山ノ神遺跡の磐座などを観てきましたが、大美和の杜エリアにも不思議な磐座が祀られています。
奥垣内祭祀遺跡の磐座。
石垣に囲われた一段高い場所に祀られます。
背後には三輪山が聳え、すぐ後方を山の辺の道が通ります。
奥垣内遺跡の行き方ですが、今回は大美和の杜展望台から向かうルートを取りました。展望台から久延彦神社方面へ下り、ささゆり植栽園の手前を右へ折れます。神饌田まで降りて行く手前辺りに、ひっそりと磐座の祀られる遺跡がありました。
大小二つの磐座!神奈備信仰の跡
大神神社御田植祭の舞台ともなる神饌田。
奥垣内遺跡の場所ですが、神饌田の南方上手辺りです。山の辺の道のルートから少し外れたエリアで、人通りの少ない場所です。大小2つの磐座が、絶妙な間隔で寄り添っていました。
奥垣内祭祀遺跡の磐座。
左向こうに大きいイワクラ、その右手前に小さいイワクラを祀ります。
昭和40年に橿考研の発掘調査が行われているようです。
奥垣内遺跡の磐座の傍(そば)から、須恵器・滑石製臼玉を収めた大甕・有孔円板が出土したそうです。さらには、朝鮮半島の陶質土器や土師器も出土しています。
大神神社の標石。
ささゆり植栽園を脇に見ながら奥垣内遺跡方面へ歩いていると、右手に細い道が伸びていました。抜け道かな?と思い、誰も通らない道を進むと、池の畔に出ました。意味のない行動を恥じながら引き返し、再び奥垣内遺跡を目指します。
その途中にこんな所にも出ました。
実はここもちょっと寄り道なのですが、苔生した石畳が綺麗ですね。
奥垣内遺跡まで真っ直ぐに伸びるアプローチ。
さしずめ参道のような感じです。
周りは見通しのきく場所です。
その点、緑に包まれた山ノ神遺跡とは雰囲気が違いますね。
この磐座はペアなのでしょうか?夫婦岩も三輪山麓の磐座の一つですが、手水舎の下で二つの磐座が寄り添っています。元来、夫婦岩は違う場所に祀られていたとも言われ、聖天石の名で呼ばれていました。九日社の陰陽石などは、明らかにペアの磐座だと思います。
何も語らない磐座。
観光向けの案内板も見当たりません。
ただひっそりと、そこにあるだけです。
大きい方の磐座の背後には、色の違う黒い部分が見られますね。なんだか飛鳥石の特徴にも似ています。
光が差し込み、いい感じ。
地中に埋もれた部分も想像しながら時を過ごします。
木札「三輪明神大神神社守護之家」。
池の畔に鄙びた家が建っていました。
奥垣内遺跡の磐座の背後はこんな感じです。
表情を感じると言ったら、勝手な解釈に過ぎるでしょうか(笑)
ここは神様が降臨する場所です。まじまじと見つめながら、聖なる神籬(ひもろぎ)と向き合います。山の辺の道に神籬遺跡がありましたが、神の依代には背筋が伸びますね。