ならまちの徳融寺北方に安養寺というお寺があります。
中将姫が出家を決意したお寺と伝わります。「大和善光寺」とも呼ばれ、中将姫を開祖としています。
安養寺本堂。
室町時代の建物で、奈良県指定有形文化財に名を連ねます。奈良市音声館のすぐ南に位置し、門前の道を北へ向かえば「もちいどのセンター街」へと通じています。
鳴川町にある西山浄土宗の安養寺
安養寺の所在地は鳴川町です。
かつて町の中心部に小川が流れていたようですが、今は暗渠となっています。川音の流れに由来する町名ですが、そんな場所に「奈良市音声館」があるのも偶然ではないでしょう。
安養寺山門。
中将姫ゆかりの徳融寺、誕生寺、高林寺とのセット見学をおすすめします。
安養寺本堂の案内板。
奈良県指定有形文化財 安養寺本堂
一棟 室町時代 昭和43年2月23日指定安養寺は元は法相宗の寺であったと伝えていますが、江戸時代以降は浄土宗に属しています。
本堂は江戸時代に改変された部分もありますが、円柱(まるばしら)に舟肘木(ふなひじき)を置いて妻を扠首組(さすぐみ)とする構造形式や、もとは屋根が厚板段葺(あついただんぶき)であったことなど、古い手法を用いることから、建立年代は室町時代中期を降(くだ)らないと考えられます。
仏堂には珍しく切妻造・厚板段葺の屋根であった点など、類例の少ない建物といえます。 奈良市教育委員会
ここからでも、軒下の舟肘木は確認できますね。
実の母を幼い頃に失い、継母からひどい仕打ちを受け続けた中将姫。当麻寺へ向かう前、ここ安養寺で出家を決意したのかと思うと、思いも一入ですね。