七廻(ななまわり)峠の婆羅門杉。
天理市の普光山永照寺(ふこうざんえいしょうじ)の山門代わりになっている巨木です。参道を進むと、石段奥の両側に天を突く杉の木が二本立っています。向かって右側の木に注目してみると、その火焔状に伸びる枝振りに目を奪われます。
境内から撮影しています。この向きだと、左側の巨木がそれに当たります。
どこまでが幹で、どこからが枝なのかよく分からないのですが、とにかく並々ならぬパワーを感じさせます。
大きく波打つうねり!うねりの英訳はswell
「うねりを打つ」と言いますが、そもそも「うねり」とは何を意味する言葉なのでしょうか。
辞書を紐解いてみると、うねりとは周期の長い波を意味するようです。大きく波打つことであり、波頭も立たない大きな波が寄せてくるイメージと重なります。山脈や波が小高く連なったところを「うね」と言い、畑の畝(うね)にも通じています。
うねっていますね!
紅色の巨木が天に向かって、自由奔放にその生命力を解き放ちます。
よく鮎を塩焼きにする際、料理人は串を打って焼きます。私たちは「踊り串」と呼んでいますが、魚の身をうねらせて串を刺すことから「うねり串」とも言うようです。
ちなみに「うねり」の英訳はswell です。膨張や増加を意味する英単語ですが、波のうねりや土地の起伏にも用いられています。
永照寺の境内。
名阪国道の開通により、一時は通行人が途絶えていた七廻峠。
天理市の有志が集まって草刈りなどが行われたようです。その甲斐あって、近年復活したのが七廻峠です。天理市福住町から、盆地部のJR帯解駅方面に至る道で、天理市側を辿ります。
膨張を意味する swell は、道頓堀名物の河豚(ふぐ)swellfish にも表れています。
こうしてみると、英語表現も面白いものですね。
永照寺の本堂裏手には、不動明王が祀られているようです。まさしくお不動さんの火焔状の光背を思わせる枝振りですね。
人里離れた山寺ですが、聖武天皇の勅願寺なんだそうです。瓦にも菊の御紋が施され、東大寺にさえ無い聖武天皇位牌堂があります。
a swell of the cedar
「杉の木のうねり」、ここは歴史に裏打ちされた奈良観光の穴場です。