石燈籠の各部位にも名前があります。
燈籠の本来の目的である灯りをともす火袋(ひぶくろ)はよく知られていますが、その他の部位に関しては知らない人も多いですよね。かく言う私も、初めて耳にする名前が幾つかありました。
火袋の下の部分を中台と言います。
中台は上から順に受座、格狭間(こうざま)、蓮弁の部位で構成されます。
格狭間は「香狭間」とも書き、壇の羽目や露盤などに特殊な刳り方をした装飾を指します。昔は格狭間のことを「牙象(げじょう)」と言っていたようです。
格狭間の上に受座、火袋が乗っかります。
火袋の下段にも格狭間が配され、その上段には火口の円窓が開いています。
こちらは笠の蕨手(わらびて)。
先のくるっと丸まった意匠で、唐草文様のデザインを思わせます。この蕨手は古来より様々な建築物に見られ、唐古・鍵遺跡の復元楼閣でもおなじみです。
笠の上には宝珠が載っています。
宝珠の下の花模様を請花(うけばな)と呼びます。塔の九輪(くりん)の下にも見られる請花ですが、上を向いた蓮華がデザインされています。
格狭間の下にあるのは蓮弁です。
香狭間は様々な調度品にも見られ、特に香狭間透かしのデザインは見る者を魅了します。
中台の下は燈籠の脚に当たる竿で、竿の下が基礎です。
基礎は上から受座、反花(かえりばな)、さらには格狭間から成ります。
この石灯籠の場合は、反花のすぐ下が基壇になっているようです。
火口の上下にも格狭間が見られます。
火袋の穴にも色々な形がありますね。
火袋を支える中台をまじまじと見つめる機会もそうありません。
名前を知ることから、興味の範囲が広がるのは面白いですね。
ちなみに、長い竿の真ん中ぐらいにある帯状の意匠を珠紋帯と言うようです。さしずめ燈籠の脚飾りですね。
当館の中庭には、火袋の丸い雪見燈籠もあります。
それぞれに趣が違い、見ていて飽きることがありません。