天岩戸神話の神を祀る手力雄神社@奈良市橋本町

天岩戸(あまのいわと)神話で活躍した神様。

岩戸隠れの伝説はよく知られるところですよね。

天照大神が天の岩屋戸に引き籠り、世界が真っ暗になってしまったというお話。困った神々が相談して、アメノウズメが胸もお腹も露わに踊り出すことになります。八百万の神々の笑いに誘われてそっと外の様子をうかがった天照大神を、その怪力で引っ張り出したのが天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)です。

手力雄神社

奈良の三条通沿いに祀られる手力雄社。

手力雄神社(たぢからおじんじゃ)は春日大社の境外末社の位置付けです。春日大社には計61社の摂末社がありますが、その内の一つが橋本町に鎮座する手力雄神社なのです。

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御高札場や奈良県里程元標の近くに御鎮座

春日大社一の鳥居から三条通を下って来ると、近鉄奈良駅へ通じる「ひがしむき商店街」があります。その手前、ちょうど猿沢池の上手辺りに手力雄神社はご鎮座なさっています。

神社の近くには橋本町御高札場や奈良県里程元標などがあり、往時の奈良の空気が伝わってきます。

手力雄神社の石段

手力雄神社へ通じる石段。

三条通からこの階段を上った所に祀られていました。

築地塀を挟んだ後方には、興福寺会館が見えています。すぐ近くには国宝・興福寺三重塔が聳えます。

天の岩屋戸に隠れてしまったアマテラスを誘い出すために、知恵を絞り合った神々の姿は微笑ましくもありますよね。

あらかじめ集めておいた常世の長鳴鶏を鳴かせ、朝の到来を知らせます。そして、勾玉の飾りと鏡を天の香具山の榊に掛けて捧げ持ち、尊い祝詞を上げたと伝えられます。

そしていよいよタヂカラオが岩戸の影に隠れてスタンバイし、アメノウズメの踊りが始まります。

南都銀行の羊

南都銀行の羊の意匠。

三条通沿いに建つ南都銀行本店ですが、西洋建築の粋を見るような気がしますね。行く手には、ひがしむきアーケード街の入口も見えています。ここからさらに上手へ向かうと、左側に手力雄神社が鎮まります。

奈良県里程元標

奈良県里程元標と御高札場。

手力雄神社の石段手前にありました。

里程元標とは、全国の道路の距離や状況を把握するために設置されたものです。各府県の本庁所在地の交通起点となる場所に設置されたようです。明治21年7月に橋本町に置かれ、大阪、三重、京都への距離などが記されていました。

復元された里程元標は桧材製で、高さは3mにも及びます。

橋本町御高札場

江戸時代の御触書である御高札場。

奈良時代後半から江戸時代にかけて、高札場のあるこの辺りは大変賑わったものと思われます。

”奈良公園をすみかとせし鹿に申し渡す” と題する御触書もありました(笑) 大和国の顔として、人に愛されるべく研鑽すべしといった内容のお触れ書きです。ちょっとしたユーモアも交えたものだったことが窺われます。

手力雄神社(春日大社境外末社)

再びアマテラスが舞い戻り、明るさを取り戻した世界。

タヂカラオに手を取られて、天岩戸からぐいっと引っ張り出されたアマテラス。するとすぐさま、注連縄が岩屋の入口に張り渡され、二度と戻ることが出来なくなったと伝えられます。きっとタヂカラオの力(ちから)にも何か感ずるものがあったのでしょう。

手力雄神社は今も、勇気と力を授けて下さる神様として信奉されています。

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