東吉野村民俗資料館の手前に、鄙びたお堂が建っています。
1594年建造の天照寺薬師堂。鎌倉期にこの地を治めていた小川氏の菩提寺です。小(おむら)の集落と高見川を見下ろす高台にあり、釘を一本も使わない茅葺屋根の小堂です。
天照寺薬師堂。
奈良県指定文化財の歴史ある建物。
この日、私は小学校跡地を利用した東吉野村民族資料館を目指しました。車道から集落へ上がっていく道が付いており、左へカーブしながら小学校のグラウンドへ出ます。今は民俗資料館の駐車場になっているようで、そこに車を停め歩いて薬師堂へ向かいました。
能舞台形式の堂内!本尊薬師如来と十二神将を安置
天照寺薬師堂の堂内には、薬師如来と十二神将が祀られているようです。
普段は秘仏で非公開ですが、年に2回だけ特別開扉があります。毎年1月8日の七薬師まいりと、夏土用の最初の丑の日の御開帳となります。
七薬師詣りは旧小川氏領内の7つの薬師堂を巡ります。薬師堂の位置ですが、後醍醐天皇が吉野に開いた南朝から見て北東なんだそうです。鬼門除けの意味合いもあるのでしょうか。
この鄙びた雰囲気がいいですね。
またと無い味わいです。
さらに上手には、小川城主の墓もありました。
すぐ左には石鼎庵(せきていあん)が控えています。原石鼎は東吉野村で暮らした大正期の俳人です。豊かな自然を詠った俳句には、心惹かれるものがあります。
見事な合掌造り。
雪深い地には適した建物だったのでしょう。
小川城主の墓に建つ六地蔵。
一つの小堂を挟み、その向こうに天照寺薬師堂の茅葺屋根が見えています。間にあるお堂は何なのでしょうか?
何やら石仏が祀られていました。
民俗資料館見学の際は、是非天照寺薬師堂にも足を延ばしておきましょう。タイムスリップした空間が楽しめます。