仏伝図レリーフといえば、壷阪寺のそれを思い出すのですが、安産祈願で知られる帯解寺境内にも仏伝レリーフがありました。
帯解寺本堂裏手の新御堂一階の壁面に、釈尊の誕生絵図が浮き彫りにされています。
釈迦の誕生シーンが描かれた仏伝レリーフ。
生まれたばかりの釈尊が右手を挙げるお馴染みのポーズを取っています。
マーヤ夫人の右脇から誕生したお釈迦様
帯解寺は安産祈願のお寺として有名です。
皇族からの信仰も篤く、美智子皇后や秋篠宮妃殿下も帯解寺で安産祈願をなさっています。子供の誕生にまつわるお寺ということで、釈尊の誕生を描いたレリーフがあるのも頷けますね。
帯解寺の新御堂。
新御堂のすぐ西側にはJR万葉まほろば線が通っていて、拝観中も時折JRの列車が行き交います。以前に帯解寺を訪れた際には、この建物(新御堂)は見当たりませんでした。おそらく最近になって建立されたものと思われます。
壁面に仏伝レリーフが描かれているのが分かります。
釈尊の誕生には不思議な伝説があります。白象に姿を変えた釈尊が、マーヤ夫人の右脇に入っていったと伝えられます。入胎(にったい)と呼ばれるプロセスを経て、めでたく4月8日にマーヤ夫人の右脇からお生まれになります。
帯解寺本堂。
本堂内には鎌倉時代の重要文化財である地蔵菩薩像が安置されています。
右手に錫杖(しゃくじょう)、左手に宝珠を持った半跏像で、像高は約1.8mにも及びます。求子(ぐし)安産の霊像として長きに渡って人々に信奉されています。
帯解寺の安産絵馬。
帯解寺では戌の日に安産祈願をすればご利益があると伝えられています。絵馬にも犬がデザインされていますね。豚なども多産のイメージがありますが、やはり犬の方がお寺にはしっくりくるのかもしれません(笑)
仏伝レリーフの右上をよく見てみると、ちゃんと白象が描かれていました。
帯解寺には、わずか21cmほどの小さな「誕生釈迦像」も安置されているようです。この仏像は徳川将軍家から寄進されたもので、3代将軍家光の側室が帯解寺地蔵菩薩に子授け祈願を行ったところめでたく懐妊し、そのお礼に寄進されたものとされます。
帯解寺仏伝レリーフの案内板。
新御堂 一階回向殿 二階護摩堂 一階壁面仏伝レリーフ”釈迦誕生図”
釈尊の母、マーヤ夫人は白象の胎内に入る夢を見て懐妊し、月満ちて出産の時を迎え、故郷に赴く途中、ルンビニー園のサーラ樹の下で釈尊を生んだと伝えられている。
釈尊は誕生後ただちに四方に七歩歩んで、「天井天下唯我独尊」と唱えられた。
有名なお釈迦様の誕生シーンが語られます。
付き添いの者が祈りを捧げています。
今はまだ真新しい感のある仏伝レリーフですが、年月の経過と共にいい味わいが出てくるのかもしれませんね。
こういう彫刻物はやはり、多少の風化を待って真実味も増してくるというものです。
北御堂の手前に百日紅が開花していました。
初夏のつつじで知られる帯解寺ですが、真夏の今の時期はやはり百日紅ですね。
帯解寺仏伝レリーフの全体像。
生命は尊く、人の命は地球よりも重いと言います。その誕生に深く関わる名刹が、JR帯解駅近くの奈良市今市町に佇んでいます。