寺社巡りをしていると、頻繁に出くわすのが龍と蛇ではないでしょうか。
古来より龍神や蛇神は、私たち日本人になじみの深い神様です。そこでふと頭に浮かんだのが、「龍頭蛇尾(りゅうとうだび)」という四字熟語です。初めは盛んで終わりがふるわないことを意味する龍頭蛇尾。言い換えるなら、「頭でっかち尻すぼみ」と表現することもできます。
帯解寺境内の龍。
空を翔け昇るイメージのある龍には勢いが感じられます。プロ野球界を例に挙げるなら、中日ドラゴンズの元監督である星野仙一氏には「昇龍」のイメージがぴったり当てはまります。私が小学生の頃は、活発な女の子に「女ドラゴン」というあだ名が付けられていました(笑)
二本の角と四本の足を持つ龍と、四肢の無い蛇
あまり明確には知られていませんが、想像上の動物である龍には2本の角と4本の足があります。足のある龍に対して、蛇には足がありません。それだけでも何か、蛇には陰湿な印象が付きまといます。
奈良県葛城市に鎮座する長尾神社。
蛇の尻尾に例えられる長尾神社。大蛇の頭が大神神社で、その尻尾が長尾神社に当たると伝えられます。龍頭蛇尾という四字熟語を長尾神社に引用するのは、あまりにも長尾神社に対して失礼なのですが(笑)、どうしても頭に浮かんでくるのです。頭でっかち尻すぼみの ”尻すぼみの部分” ということになります。
ゆうあいバス長尾神社前。
蛇には、その姿を朽ちた縄に見立てた「くちなわ」という別名があります。
腐った縄とは、これまた不名誉な名前ではないでしょうか。半死半生の目に合わせたり、徐々に苦しめたりすることを「蛇の生殺し」と表現することもあります。じめっとした湿気を感じさせる蛇には、どうも負のイメージが付きまといます。
長尾神社参道の燈籠。
しかしながら、それと同時に神々しさも併せ持つ蛇の魅力を忘れてはなりません。
何を考えいるのか分からない蛇には、不思議な霊力が宿っているような気がして参ります。古代の人々も蛇にはひとかたならぬ魅力を感じていたことでしょう。大神神社の巳の神杉には、白蛇が棲むと云われます。酒や卵がご神木の前に供えられ、蛇神様が手厚く祀られています。
体育の時間の1,500m走などでも、最初の2周ぐらいはトップを走っていながら、徐々に順位を落としていく人がいましたよね(笑) まさしくそういうランナーのことを龍頭蛇尾と表現します。ペース配分を考えずに突っ走るのは禁物です。
寺社参拝をしながら、ふと頭によぎった龍頭蛇尾という言葉について考えてみました。