宇迦御魂(うかのみたま)を祀る長山稲荷社。
橿原神宮の南に広がる深田池の畔に、長山稲荷社というお社があります。
橿原神宮の西参道側に位置しており、最寄駅は橿原神宮前駅よりもむしろ近鉄南大阪線の橿原神宮西口駅になります。橿原神宮には何度も参拝していますが、長山稲荷社にお参りするのは今回が初体験でした。
長山稲荷社の本殿。
御祭神は宇迦能御魂神(うかのみたまのかみ)、豊宇気神(とようけのかみ)、大宮能売神(おおみやのめのかみ)です。
ウカノミタマといえば、宇賀神のことを思い出します。
初午祭も催される長山の地主神
穀霊神として崇められる神様ですが、翁の顔に蛇の体を持つ異形の神様です。
その宇賀神の元になっている神様がウカノミタマです。京都の宇治エリアに三室戸寺という紫陽花で有名なお寺がありますが、そこの境内で宇賀神の像を拝ませて頂いたことを思い出します。
深田池に架かる橋。
多種多様な水鳥たちが羽を休める深田池。ちょっとしたバードウォッチングが楽しめるスポットとして知られます。ご近所の方が散歩しておられるお姿もよく見られます。
長山稲荷社の鳥居の入口。
伏見稲荷大社の千本鳥居のように、数多くの朱色の鳥居が並んでいます。
伏見さんといえば、商売繁盛や五穀豊穣のご利益があると言われますが、ここ長山稲荷社も商売繁盛、五穀豊穣、開運厄除の神様として崇められます。
御祭神に名を連ねる豊宇気神(とようけのかみ)。
豊穣の女神として知られる豊受大神(とようけのおおかみ)のことだと思われます。伊勢神宮内宮の天照大神に食事を提供する豊穣の女神であり、伊勢外宮に祀られている神様です。
天の羽衣伝説に彩られた豊受大神。
神聖な鳥のイメージと結び付く豊受大神が、水鳥たちが羽を休める深田池の畔に祀られ、何とも似つかわしい場所に鎮まっています。
橿原神宮外拝殿。
お正月を控え、干支の描かれた巨大な絵馬が、正面向かって右側に飾られています。参拝客のほとんどがこの外拝殿前を訪れることになります。しかしながら、深田池の畔にひっそりと佇む長山稲荷社をどれだけの人が知っているでしょうか。
長山稲荷社は橿原神宮鎮座以前から、長山の地主神として祀られてきました。つまり、橿原神宮よりも歴史のある神社なんです。橿原神宮造営に当たっては、少なからずの御加護があったものと思われます。改めて長山稲荷大明神に感謝しなければいけませんね。
南神門から深田池の方へ出ると、長山稲荷社を案内する道標が立っていました。
神饌田も同じ方向のようです。
大神神社の御田植祭で三輪さんの神饌田を訪れたのは、今年6月のこと。橿原神宮にも神饌田が用意されているんですね。橿原神宮でも、年中行事に利用されているものと思われます。
結構な数の鳥居です。
先へ進めば進むほど、凛とした静寂に包まれます。
毎年3月の初午日には、初午祭が催される長山稲荷社。初午祭当日には、橿原神宮南神門前の広場に於いて、お待ちかねの餅まきが執り行われます。例祭は5月2日、月次祭は毎月2日に催されています。
長山稲荷社の御由緒。
橿原神宮の陰に長山稲荷社あり。
初詣に橿原神宮を計画されている方は、是非長山稲荷社まで足を運んでみられることをおすすめします。