日本の国歌にも謳われている細石(さざれいし)。
細かい小さな石が、悠久の年月をかけて巌(いわお)となり、さらにそこに苔が生すまで・・・気の遠くなるような時間軸が表現されています。初代神武天皇を祀る橿原神宮には、実に似つかわしい霊石ですね。
さざれ石の向こうに、巨大な絵馬が掲げられた外拝殿を望みます。
外拝殿向かって右手前に、橿原神宮のさざれ石はありました。
静かに時を刻み続けるさざれ石!橿原神宮のお守り「金鵄神鈴」
大神神社にもさざれ石はあります。
大神神社のさざれ石は、結婚披露宴の行われる昭和の間へ続く庭の中に置かれています。
橿原神宮のそれは拝殿の手前、参拝客の目に留まりやすい場所にありました。
苔の生すまで、そこにじっと居座り続ける。
A rolling stone gathers no moss.
「転石苔を生さず」 のちょうど反対になりますね。水でさえ、長い年月の間に岩をも穿(うが)つのです。生々流転、時の流れは全てのものを変えていきますが、その中でひたすら変わらないものがある。
小さな一粒のさざれ石が積もり積もってゆく様子は、周りの雑音に惑わされることなく、今もこの時を刻み続けています。
橿原神宮のお守り「金鵄神鈴」。
神武東征を手助けしたとされる金色の鵄(とび)。
橿原神宮に近い近鉄大和八木駅の北口には、金鵄の像が建っています。奈良県内の交通の要衝である大和八木駅ですから、ご存知の方も多いでしょう。
金鵄神鈴のお守りには日の丸がデザインされているのでしょうか、日本国を象徴する誇り高きお守りのようです。
鈴の音色には、その場を清める秘めたるパワーがあります。
つい先日も、大神神社で祈祷を受けさせて頂いたのですが、祈祷殿の中で巫女さんによる浦安の舞が舞われました。その時に鳴らされた鈴の音色は、俗なるものを寄せ付けない神聖な響きに聞こえました。鈴は神の降臨を誘うのでしょう。
さざれ石の断面模様は千差万別だと思われますが、見れば見るほど惹き付けられるものを感じます。
やはり自然に形成されたものなのでしょうか。
同じ積み重なる石でも、城の石垣には迫り来る敵への意識が感じられますが、さざれ石には微塵も感じられません。ただただ、己の中へしんしんと積み重なっていく。そんな姿が想像されます。平和への永遠の願いが込められているような気が致します。
にょきっと、さざれ石の頭にズームインしてみました。
来年も再来年も、そしてまた次の年も、この場所でずっと鎮まり続けるであろうさざれ石。
橿原神宮の南神門に紀元2672年のお札が掲げられていました。
今秋のHanarart会場にもなっていた畝傍駅貴賓室でも、2672と書かれた記念の受付券を頂いたのを思い出します。神武天皇が即位してから2672年目を意味しています。来年の2013年度(平成25年度)は紀元2673年目ということになりますね。
西暦よりも長い年月に渡っていることが分かります。
この数字を見ると、さざれ石の重みがより伝わってくるのを感じます