高取町の土佐街道にある石川医院。
毎年春秋に賑わいを見せる町家の雛めぐり、町家の案山子めぐりではお馴染みの城下町です。その歴史ある門構えで道行く人の視線を集めているのが、代々御殿医(ごてんい)として地域医療を支える石川医院です。
土佐街道沿いの石川医院。
高取藩主の下屋敷表門が移築されているようです。
現在は皮膚科医院として開業なさっていて、休診日は水曜、日曜、祝日です。アトピー性皮膚炎など、慢性の皮膚疾患に悩む患者さんと日々向き合っておられます。
享保年間に御殿医を務めた名門医院
石川医院のご先祖は関ケ原の戦いの後、三河からこの地に移り住んだと言います。
高取藩に仕えた武家だったようですが、江戸時代中期の享保年間に、当時の当主が医療を学んだことをきっかけに高取藩の御殿医と務めるようになりました。
格子模様の出窓。
表門を入ると、巧みな手仕事を感じさせる意匠に出会いました。
すっかり秋の風物詩になった案山子イベントですね。
土佐街道は明日香村のキトラ古墳にも割と近く、徒歩での移動が可能です。『四神の館』で古墳を満喫した後にでも、ふらりと立ち寄ってみるのもいいでしょう。
院内では喫煙場所も指定されているようです。
石川医院の診療所は、大正時代に建てられたモダンな建物です。
「薬室」と案内されていますね。
受付窓口がまたシブい!
ここでお薬の受け渡しが行われるのでしょうか。
患家御待合所。
近年になって新たに設けられたのでしょう。診療所とは全く別の空間として設置されていました。
重厚な扉です。
石川医院の近くにある子嶋寺の山門は、高取城二の門が移築されています。
高取藩主下屋敷の表門に高取城二の門・・・そこかしこに城下町の風情が感じられ、歴史散策にはおすすめの場所です。そう言えば、街道沿いの児童公園には高取城松ノ門も移築されていました。
おっ、これはヒイラギ鰯ですね。
”鬼が嫌う” という魔除け効果を狙ったものです。
歴史ある石川医院。
石川医院の蔵には、藩主の屋敷まで往診に向かうときに使った籠が昭和40~50年代ぐらいまで残っていたそうです。薬の調合に使うすり石や火鉢などもあったようで、是非この目で見てみたかったものですね。