京都の宇治は、しばしば「憂し」という言葉に掛けられます。
源氏物語の終焉の舞台ともなった宇治十帖の地・・・人間の罪業や宿命を描いた「源氏物語」に流れる「あはれ」の世界観が漂います。
三室戸寺の恋おみくじ。
宇治エリアを観光していると、源氏物語が描かれた絵をあちこちで見かけます。
源氏物語ミュージアム!宇治橋の紫式部像
流れの速い宇治川に架かる宇治橋。
その宇治橋をはさんで、国宝ひしめく平等院鳳凰堂と宇治上神社が向かい合います。
来世での極楽浄土を願う平等院のご本尊・阿弥陀如来坐像を前にすると、この地がまさしく現世と来世の架け橋の役割を果たしていることに気づかされます。
平等院鳳凰堂。
源氏物語五十四帖の内、宇治を主な舞台とする最後の十帖は「宇治十帖」と呼ばれています。
宇治上神社に咲くクチナシの花。
宇治十帖には、光源氏がこの世を去った後の物語が描かれています。宇治という土地には、終わりをイメージさせる空気が漂っていました。
源氏物語ミュージアム。
三室戸寺から宇治上神社へ向かう途中にあります。
「橋姫」に始まり「夢浮橋」で終わる宇治十帖。現実から虚構の世界へといざなう宇治の橋には、普通の橋にはない何か特別なものを感じます。
宇治橋の袂にある紫式部像。
言わずと知れた源氏物語の作者ですね。
さわらびの道を歩いていると、このようなプレートが道路に埋め込まれていました。
六歌仙の一人である喜撰法師の歌に、”わが庵は都のたつみしかぞすむ 世をうぢ山と人はいふなり” というのがあります。 何とはなしにメランコリックな情景が頭に浮かびます。
宇治上神社境内。
さざれ石でしょうか。
「君が代」にも歌われているさざれ石ですが、京都の古社である下鴨神社にもありましたね。
宇治観光をガイドする道標。
紫陽花やハスで有名な三室戸寺、世界遺産の宇治上神社など、観光名所が徒歩圏内にひしめきます。
宇治は憂し・・・そんなアンニュイな雰囲気も、観光地としての魅力に一役買っているのではないでしょうか。京都市街の中心地から少し離れた場所に位置する宇治の人気の秘密を垣間見たような気が致します。