岡寺大師堂前に立つ巨大な修行大師像。
弘法大師空海が四国の地を巡っておられた時の様子が伝わる尊像です。かなり大きな石像ですので、背後に控える三重宝塔と比べても見劣りすることがありません。
修行大師像の足元。
足の甲、足爪の上、足の周りとたくさんのお賽銭が納められていました。足腰の健康を願って、修行大師像のおみ足を撫でるとご利益があるそうです。年を取ると、足腰が弱ってくるのは人の常です。しっかりと大地を踏みしめて歩くお大師様の足を見ていると、なんだかそれだけで有難い気持ちになって参りますね。
健脚絵馬に足腰の健康を祈願
修行大師像の右手前には数多くの健脚絵馬が掛けられていました。
お大師様の足のイラストの中に「健脚」と書かれた祈願絵馬です。階段の上り下りがきつい、正座が出来ない、胡坐がかけない等々、足腰に不安を抱える方も多いことでしょう。そんな方々に一縷の光をもたらす修行大師様。
岡寺は真言宗のお寺で、御本尊の如意輪観音坐像は弘法大師作と伝わります。
大師堂の修行大師像。
笠を被り、左手に数珠、右手には錫杖を握ります。左脚をやや前方に踏み出し、動きの感じられる御像となっています。「浄財」と書かれたお賽銭入れもちゃんと用意されているのですが、なぜか大師像の足元にお賽銭が集まります(笑) どうやら参拝客のお目当てはお大師様のおみ足に集中するようです。
大師堂前の香炉台。
二つの環が重なっています。これは岡寺の寺紋でしょうか。どこかで見たようなデザインだなと思っていたら、同じく観音霊場の長谷寺が輪違い紋だったことを思い出します。
やはり草履を履いていらっしゃるのでしょうか。
岡寺仁王門の仁王像横にも草履が掛けられていました。草履は四国巡礼の象徴でもあります。擦り切れては履き替え、擦り切れては履き替えの連続だったのかもしれません。
仏教の礎を築いたお釈迦様の足は扁平足だったとよく言われます。行脚の証ともされますが、失礼ながらお大師様の足も扁平足なのかもしれませんね。
境内での位置関係はこんな感じです。
大師堂の南西方向に三重宝塔がそびえています。大師堂へ続く石段横には牡丹が開花していました。
修行大師像の御前にはこんなデザインが。
鐘楼堂の釣鐘の下にも同じ意匠が施されていましたが、おそらくこれは蓮ではないでしょうか。
岡寺大師堂の健脚絵馬。
板には三箇所穴があり、色とりどりの鼻緒が通されています。
健脚絵馬の奉納料は500円とのことです。
言わずと知れたことですが、弘法大師空海は全国津々浦々の寺社に祀られています。
それだけ影響力のあった人物なのです。
「弘法も筆の誤り」なんて諺もよく知られるところですよね。おふさ観音にも大師堂がありますし、久米寺、長岳寺、長谷寺、室生寺等々も弘法大師ゆかりのお寺です。
稚児大師と奥之院の弘法大師
修行大師像の向かって左側には稚児大師のお姿が見られます。
弘法大師の幼少時のお姿のようです。
手を合わせる稚児大師像。
左手には「南無大師遍照金剛」の文字が刻まれます。
南無大師遍照金剛の意味するところは、弘法大師創建の長岳寺で学びました。弘法大師に帰依し、固い信仰心で周りを明るく照らしていく・・・そんな日々の姿勢を保ち続けたいものですね。
「ご尊像にお手をふれてご祈念下さい」。と案内されています。
びんずる尊者のように触れることができるようです。
丸みを帯びたご尊像は稚児ゆえの丸みなのでしょうか、あるいは既に幼少時から完成された人格ゆえの丸みなのでしょうか。そんなことを感じさせる可愛らしい石像です。
大師堂の近くにはシャガが咲いていました。
妖艶な花模様が印象的な初夏の花です。蕾も上向きに付いていて、花そのものの勢いを感じさせますね。
偉人ともなると、その幼少時から何かが違っていたのでしょう。
かの聖徳太子にも様々な逸話が残されていますよね。聖徳太子の幼少時を模った尊像は、各地の寺社やミュージアムでも見る機会があります。幼い頃からこんなにしっかりしたお顔立ちだったのか、とため息が出ることもしばしばです(笑) 岡寺の稚児大師像を見てみても、それと似た凛々しさが伝わってきます。
こちらは奥之院へ続く参道沿いの修行大師像。
行く手に見えている鳥居は、岡寺奥之院の稲荷社です。
瑠璃井の上手に立つ修行大師像。
托鉢の途中なのでしょうか。背後には岡寺の見所の一つにもなっている石楠花が咲いています。
本堂を見下ろす ”石楠花の道” に咲くシャクナゲ。
シャクナゲの葉っぱは細長い小判型です。開花状況は散り始めといったところでしたが、その葉っぱを見れば石楠花であることが分かります。タイミングを逃してしまいましたが、次回は紅葉の美しい秋にでも訪れてみようと思います。
岡寺は厄除けで知られるお寺です。
2月初午の日に執り行われる厄除護摩供大般若法要、3月初午の日の初午大祭には数多くの参拝客が訪れます。空海の法力がみなぎる境内は、厄除祈願の聖地でもあります。
岡寺へのアクセスは、近鉄橿原神宮前駅東口・飛鳥駅より赤かめバス岡寺前を下車して徒歩10分となっています。