同行二人とは、お遍路さんの仏教用語です。
同行二人と書いて、「どうぎょうににん」と読みます。
桜井市にある長谷寺。
長谷寺の仁王門に、お遍路さんが残して行ったであろう草鞋が吊るされていました。
お遍路さんは金剛杖(こんごうづえ)と呼ばれる杖をついています。長旅を共にする金剛杖を、弘法大師空海になぞらえ、苦しい時もひたすら大師を信じて乗り切ります。
長く厳しい巡礼の旅。
一人旅でも同行二人、寂しいことなどあるものか。苦しい旅路も、弘法大師空海と一緒なら確かに心強いですよね。
2015年度の長谷寺特別拝観に訪れた時には、こんなに巨大な草鞋が仁王像の横に吊るされていました。
昨今、遍路の旅に出かける人の数も増えていると聞きます。戦後稀にみる不況の最中、新たな価値観を見出すべく遍路の旅に出る・・・なんとなく分かるような気も致します。
弘法大師空海を近くに感じながらの旅
長谷寺仁王門には千羽鶴も掛けられていました。
同行二人とは何か、「弘法大師空海と私」と解釈するのもいいでしょう。
「悩みの中にある自分と、それを俯瞰する私」・・・そういう捉え方もあるかと思われます。あるいは「悪にまみれた私と、それを制御しようとする自分」。
人生のあらゆる場面において同行二人は存在します。
四国八十八ヶ所を開いた弘法大師は、62歳のときに高野山で入定(にゅうじょう)します。入定とは、生きたままで永遠の禅定に入ることを意味します。
高野山入定の時に、弘法大師空海は「我が遺跡を訪ねて、我が姿を絵や像で見たときに、我が名を呼んでくれれば、直ちにあなたを救ってあげよう」と約束されています。
奈良の長谷寺は西国三十三ヶ所観音霊場の第八番札所です。
長谷寺の弘法大師御影堂。
国宝の本堂から五重塔へ向かう途中に、弘法大師御影堂はあります。真言宗豊山派の総本山でもある長谷寺。
長谷寺の近くでお遍路さんの姿を見かけると、同行二人の言葉を思い出します。