三千世界とは何を意味する言葉なのでしょうか?
三千世界の解説に移る前に、まずは須弥山(しゅみせん)について記しておきます。
飛鳥資料館の庭にある須弥山石のレプリカ。
仏教の世界観では、世界の中心に須弥山という高山がそびえ立ちます。
世界の中心にそびえ立つ須弥山。
簡単に言うなら、妙高山・妙光山という意味になるでしょうか。
須弥山の頂上は帝釈天の居、半腹は四天王の居とされています。
お寺に参拝するときによく見かける須弥壇。
仏像を安置するあの須弥壇は、須弥山をかたどったものです。
須弥山を中心にして、日・月・四天下・四王天・三十三天・夜摩天・兜率天・楽変化天・他化自在天・梵世天などを含んだものを一世界とします。
なんだか色々出てきましたが、これらを合わせて一世界なのです。
出水の酒船石を飛鳥資料館に見学
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本物の須弥山石が展示される飛鳥資料館
こちらは飛鳥資料館内にある本物の須弥山石。
一世界を千個合わせて小千世界、さらにそれを千個合わせて中千世界、さらにさらにそれを千個合わせて大千世界とします。
小・中・大と千が3つ重なるので三千大千世界といいます。
三千大千世界では長過ぎるので、三千世界と言い慣わしているわけです。
気の遠くなるような遠大な世界ですよね・・・
不可思議に広がる三千世界
単純に計算してみると、1,000×1,000×1,000なわけですから、10億の世界ということになります。
10億もの須弥山を想像してみてください・・・あり得ないほど広大な世界です。
この三千世界が、一仏の教化する範囲だと言われています。
たった一つの仏様で、宇宙的な広がりを持つ三千世界を教化することできるなんて、そちらの方が驚きに値します。
「三千世界に子を持った親の心は皆一つ」
とある浄瑠璃の一節ですが、なかなか深い言葉ですよね。