まほろばキッチンのすぐ北側にある橿原総合庁舎屋上庭園へ行って参りました。
行こう行こうと思いながら先延ばしになっていた憩いのスペースです。屋上庭園のちらしにも案内されていますが、橿原総合庁舎屋上庭園は入場無料です。自治体の建物ということで気にはなっていたのですが、土日祝日も開放されているようです。開放時間は午前9時~17時30分となっています。
屋上庭園から三輪山を望みます。
小さな花壇に花が植えられ、緑鮮やかな芝生が整備されています。環境問題への取り組みから、各地で屋上緑化が進められていると聞きます。旧耳成高校が改修された橿原総合庁舎の屋上にも、目の保養にもなる一面のグリーン世界が広がっていました。
東の方角に三輪山が見える。大和を象徴する三輪山が日の出の方角に見えるだけでも、なぜか心が安らぎます。
360度のパノラマに感動する屋上庭園
橿原総合庁舎の屋上庭園からは三輪山をはじめ、畝傍山・香具山・耳成山の大和三山、二上山、高円山、若草山などを見渡すことができます。
大和の名前の由来は「山処」や「山都」にあると言われます。四方を山に囲まれた大和平野の様子が、この展望台からはっきり見て取ることができます。
観光望遠鏡で耳成山、畝傍山の方向を望みます。
望遠鏡の柱に「COVAC」と記されています。京都市山科区の観光用望遠鏡を製造なさっている株式会社コバックさんですね。この日は曇天模様でしたが、大和三山に近い立地ということもあり、万葉人たちに愛された山々を手に取るように観察することができました。
まほろばキッチンの駐車場から、橿原総合庁舎の屋上庭園へ向かいます。
連絡通路でまほろばキッチンとつながっているようです。ここから屋上庭園までは、距離にして100mと案内されています。
橿原総合庁舎。
県立耳成高校の建物を改修して、総合庁舎として生まれ変わりました。
4階建ての建物で、その屋上部分に展望台を兼ねた屋上庭園があります。屋上庭園は北棟ですので、この写真では右側の建物に当たります。
玄関口から右手へ行くと、すぐに屋上庭園行きエレベーターがありました。
屋上庭園まで直通で運んでくれる便利なエレベーターです。ちなみにエレベーターはシースルーで、外の様子がうかがえるようになっています。
屋上階に着きました。
何やらストーブのような物が見えますね。真冬の寒い時期は、このスペースで暖を取るのでしょうか。
万葉集ゆかりの草花と芝生で整備された庭
橿原総合庁舎の屋上庭園には3つの庭が整備されており、それぞれ「うるわしの庭」、「うつろいの庭」、「まほろばの丘」と名前が付けられています。
エレベーターホールをはさんで東側に、三輪山を望むうるわしの庭が広がります。
うるわしの庭と三輪山。
ここにもパノラマ写真と観光望遠鏡が備え付けられていました。
三輪山の麓にある海柘榴市も望むことができます。さらに三輪山の右手には、朝倉富士(外鎌山)をはっきりと肉眼で捉えることができます。
うるわしの庭から真っ直ぐに歩廊が伸びています。
東西に一直線に伸びる歩廊に足を掛け、二上山が見えるという西の方角へ向かいます。
屋上を周遊する「国見の歩廊」と大和三山の風景。
時の天皇が香具山の頂から国見をした話は有名ですが、全方位のパノラマビューが楽しめる展望台はまさしく国見の舞台と言っても過言ではありません。現代版の国見スポットですね(笑)
手摺りの付いたつづら折りの歩廊を下って行くと、花壇の花が美しいうつろいの庭へと続きます。
国見の歩廊沿いにはライトが備えられていました。
屋上庭園の開放時間は17時30分までとなっていますが、冬期はライトアップされるのかもしれませんね。フェンス越し真正面に国見の山・天香具山を望みます。しばし香具山山中に眠る月の誕生石を想いながら、心地よい空想のタイムトラベルに身を委ねます。
うつろいの庭とエレベーターホールの方を望みます。
所々に花壇が置かれているのが分かります。
桔梗の花ですね。
桔梗の花言葉は「誠実」、英名を balloon flower と言います。
なるほど ”風船の花” ですか、言われてみればそんな感じもしますね。5つの花弁が、まるで風船が膨らむように咲いている。桔梗はどこか安定感を感じさせる花です。かの坂本龍馬の家紋にも桔梗が見られますが、見ていて安心を覚える花ではないでしょうか。
消火栓も完備されていました。
消火ホースがとぐろ巻に収納され、有事に備えられます。
藤原京の都市形態を再現する「条坊図の舞台」
屋上庭園にはもう一つの見所があります。
うつろいの庭の西側に設けられた「条坊図の舞台」は、藤原京ファンにはたまらない学習スポットです。
ウッドデッキ部分に設けられた条坊図の舞台。
橿原総合庁舎は藤原宮跡からも程近い場所にありますが、この条坊図の舞台には藤原京の都市形態が見事に再現されています。
高殿エリアと藤原宮跡ですね。
暑いさなかの7月末日、藤原宮跡のハナハスを見て参りましたが、あの蓮の咲いていた場所がちょうど高殿エリアに相当します。条坊図の舞台には大和三山をはじめ、明日香村や磐余エリアなども収められていました。舞台の上を歩きながら、リアルに藤原京を中心とした万葉世界を堪能することができます。
細部まで緻密に作り込まれた藤原京の立体模型。それが橿原市の藤原京資料室にあります。
千分の一に縮小された藤原京模型も素晴らしいのですが、さすがにその真上を歩くことはできません。ガラスケースの中の精密な模型を目で追って確認していくしかないのです。その点、こちらの条坊図の舞台はより藤原京を体感できるのかもしれません。
条坊図の舞台脇から耳成山、畝傍山の方向を望みます。
手前が耳成山、その左手向こうに見えているのが畝傍山です。耳成山の手前には、地元のスーパーおくやまの看板が見えています。
屋上庭園西の隅っこに設けられた休憩スペース。
まほろばの丘の片隅にL字型のベンチが備え付けられていました。
観光望遠鏡では絶対に太陽を見ないように気を付けましょう。
太陽のマークにバッテンの印が付けられていますね。
観光望遠鏡の柱の下に踏み台がありました。
どうやら子供用の踏台のようです。「50㎏以上の方はのらないで下さい」と注意書きがあります。大人はこの上に乗らなくても、十分に望遠鏡を覗き込むことができますのでくれぐれもお気を付け下さい。
屋上庭園の西側・まほろばの丘から二上山を望みます。
天気があまり良くなかったためか、二瘤の二上山がかすんで見えます。晴天の日は間違いなくはっきり見えるものと思われます。
1階のエレベーター近くに展示されていた模型。
「旧耳成高校改修工事 計画模型」と案内されています。
屋上庭園の高さは約15mです。
明らかに高さ的には奈良県庁の屋上庭園より低いものと思われますが、その景色は県庁の屋上にも匹敵するものがあります。いや、それ以上かもしれません。橿原総合庁舎の周囲には高い建物が無く、360度の抜けるような景色を楽しむことができます。これは旧耳成高校にも感謝申し上げたいですね。
左側の北棟屋上が無料開放されています。
屋上から見える風景を詠んだ万葉歌14首も見所の一つです。
それぞれの万葉歌を解説するスクリーンなども設けられ、ゆったりと寛ぎながら古代人たちと心を一つにすることもできます。
奈良特産品を扱うまほろばキッチンに隣接している点も大きいですね。
まほろばキッチンの駐車場に大型観光バスが停まっていることがよくありますが、観光客の方にも是非この景色を楽しんで頂きたいと思います。マイカーで奈良観光を楽しむ方々にも、奈良のお土産を購入した後に、またとない大和の絶景を楽しんで帰ってもらいたいと思います。