1月中旬に飛鳥坐神社を訪れました。
毎年2月の奇祭・おんだ祭で有名なお社です。境内には多くの陰陽石が見られ、歴史ある神社として人気です。長引くコロナ禍により、今年も神主のみのおんだ祭になるようです。楽しみにしていた人も多いと思いますが、残念ながら一般拝観は見送られます。
飛鳥山口神社。
神楽殿の向かって左横にありました。
奈良県民なら“山口神社”と聞いてピンとくるはずですね。格式の高い式内社で、山の神や雨乞いにゆかりがあります。境内にひっそりと、小さく祭祀されていることに違和感を覚えました。他の山口神社はいずれも、山の麓に一つの神社として祀られていることが多いからです。
御祭神は大山祗神(オオヤマツミノカミ)!大和国六所山口神社
『延喜式』祈念祭祝詞に記載される山口神社。
飛鳥山口神社の他にも、高田山口神社(又は石寸山口神社)、忍坂山口坐神社、長谷山口坐神社、畝火山口神社、耳成山口神社の名が連なります。山口神社は朝廷により計画的に造られた式内大社で、祈年祭では重要な祈りが捧げられていました。
明日香村飛鳥神奈備に鎮まる山口神社。
山口神社は古来、皇居造営のための用材を伐り出す山に坐しています。名前の通り「山の口」に鎮座し、その神霊を祭ります。
飛鳥山口神社の御祭神。
大山津見乃神、久久乃知之神、猿田彦乃神と案内されていました。
言わずと知れた山の神であるオオヤマツミ。その横に列せられるククノチ・・・どうやらククノチは木霊のようです。サルタヒコは道先案内人ですね。
格式高い大和国六所山口神社の一社が、こんなにひっそり祀られているとは思ってもみませんでした。
馬繋ぎの環金具ですね。
馬つなぎの向こうに見えているのが飛鳥坐神社の鳥居です。
神社と馬は昔から深いつながりがあります。鳥居前に「下馬」と刻む石標をよく目にします・・・神域である境内に馬はご法度だったのでしょう。必ず馬から降りてお参りしなければなりませんでした。ご主人が参詣している間、馬を引く従者たちがあれやこれやと語り合ったのが下馬評の語源です。
飛鳥坐神社の陰陽石。
五穀豊穣、子孫繁栄にご利益のある飛鳥坐神社。
境内には数多くの陰陽石が見られます。
山口神社の括りですが、大和国六所(やまとのくにろくしょ)山口神社の他にも、吉野山口神社などを含めた大和国十四所山口神社があるようです。十四所(じゅうよんしょ)には巨勢山口神社や都祁山口神社なども入っています。
いっそのこと、山口神社巡りをしてみるのも面白そうですね。
昨今では古墳巡りの御墳印帖が河合町より発行されています。御朱印ブームからの広がりを感じます。これはもう、奈良県内の山口神社コレクションもアリかなと思った次第です。